緊急時供血登録者662人

供血者の登録状況や課題などを共有した「奄美大島地区緊急時供血者登録制度連絡協議会」(28日、奄美市名瀬)

陸自協力で新規1・5倍増
奄美大島地区

奄美大島地区緊急時供血者登録制度連絡協議会(会長・相星壮吾名瀬保健所長)の2024年度会合が28日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。23年度の登録者数は前年度比22・8%増の662人で、活用事例は2件と報告。初めて陸上自衛隊奄美警備隊がオブザーバー参加し、名瀬保健所は「新規登録は前年と比べ1・5倍増えたが、自衛隊員の協力が大きい。地域貢献の意識が高く、非常にありがたい」と述べた。

同制度は、奄美大島地区内の保存血液が不足し、県赤十字血液センターからの血液製剤の確保が困難となる状況に備え、事前に供血者を登録する制度。23年度の2事例は、共に県本土から血液製剤が輸送できない時間帯での要請だった。 

事例1例目は、奄美市の男性に対して午後4時、多発外傷に伴う手術の際、5人分の献血量を依頼。供血協力は7人で4人から採血。保存血液のみで容体が安定し未使用だった。

2例目は、和泊町の女性に対して午後6時46分、術後出血で3人分の献血量を依頼。供血協力は3人で3人から採血し、1人分の血液を使用した。

会合では、県立大島病院が提案した、院内採血への時間短縮を目的とした、供血要請依頼書の様式変更と運用を承認。名瀬保健所と登録情報を共有する大島地区消防組合は、供血協力者への連絡方法にアプリの活用を意見した。

ほかにも1962年に輸血用輸送で自衛隊機が奄美市内に墜落した事案を挙げ、18年度に島内から撤退した、血液備蓄所の再設置を要望する声もあった。

緊急時供血者登録受け付けは各献血会場で行われ、登録要件は、①過去3年以内に献血を実施②血液センターの献血基準を満たす③緊急時に病院で採血できる―となっている。