県議会代表質問

「稼ぐ力」向上へ人材育成・確保
防衛強化の空港・港湾整備 国の市町説明終了
県警不祥事 個人情報漏えい経緯説明

 県議会6月定例会は30日代表質問があり、自民党の角野毅議員=鹿屋市・垂水市区=、県民連合の湯浅慎太郎議員=姶良市区=が登壇した。改選を前に2期目の決意が問われ、塩田康一知事は「稼ぐ力」向上には各産業を支える人材育成・確保が不可欠として、▽労働生産性を高めるためデジタル人材の確保▽地域経済を支える貴重な人材として外国人材の受け入れ、移住・交流の促進―に取り組むとした。

 知事は県内の実情を踏まえた子育て支援施策の充実、奄美・離島振興も挙げて「2022年度に概ね10年後を展望し改定した『かごしま未来創造ビジョン』に掲げている各般の施策を積極的に進める」と述べた。

 能登半島地震を踏まえた防災対策で知事は26日に奄美市であった県総合防災訓練について言及。半島や離島では災害時の迅速な対応が困難となる可能性がある中、「奄美市で実施した同訓練では能登半島地震を踏まえ住民による避難所運営や広域搬送拠点臨時医療施設の設置などに取り組むとともに、新たに島外からのDMAT(災害派遣医療チーム)や資機材の輸送などに取り組んだ」と報告。能登半島地震で得られた知見などの情報収集に努め国や市町村、防災担当機関と連携を図り対策のさらなる充実強化に取り組むとした。

 安全保障関係では県内自衛隊施設の新たな整備が取り上げられた。瀬戸内町での整備について桑代毅彦・危機管理防災局長は「古仁屋港須手地区においては自衛隊艦艇の輸送補給拠点の整備調査で国は、昨年11月~今年1月まで測量調査や地盤の強度等を確認するなど土質調査を実施した」と説明。さらに今年1月から来年3月末頃にかけて動植物等の生息状況を調べる環境調査を実施するとした。

 防衛力強化の一環として、有事の際に自衛隊や海上保安庁が円滑に利用することを想定する「特定利用空港・港湾」について、国は県内の候補施設(8市町村8か所で、奄美関係は空港が徳之島空港、港湾が名瀬港、和泊港)が立地する市町に取り組み内容を説明している。安原達・土木部長は「5月8日から地元市町への説明が始まり、本日(30日)をもって全て終了する」と説明し、「今後、地元市町の考えを伺った上で、必要に応じて国にさらなる情報提供を求めるか対応を検討していく」と述べた。

 県警の警察官による不祥事が相次いでいる中、捜査情報流出問題に関するこれまでの捜査状況及び抜本的な再発防止に向けた取り組みに関する質問があった。野川明輝・警察本部長は「元巡査長が警察活動の一環として福岡県在住の会社役員と接触し、業務を円滑に進め自己に対する組織の評価を高める目的で告訴告発事件処理一覧表を印字して合計304人分の個人情報を漏えいした」と経緯を説明。再質問への答弁で「見返りに、さまざまな話が入りやすくする」ということで、その結果、個人情報を提供したとした。

 再発防止策について野川本部長は「適正な業務評価で職員の勤務意欲を高め帰属意識の醸成を図るほか、その根幹である良好な人間関係の構築に取り組むことこそ抜本的な再発防止策になる」と述べた。

 6月3日から一般質問に入る。