東京農工大大学院と連携協定

包括連携協定には、地域住民への環境教育・啓発の推進などの項目も盛り込まれた(2日、大和村防災センター)

 

 

クロウサギ施設で調査研究
産業振興でも期待
大和村

 

 

 大和村と東京農工大学大学院農学研究院(東京都府中市)は2日、同村防災センターで、自然環境や生物の調査研究に関する包括連携協定を結んだ。同研究院は、2025年4月完成予定のアマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)の一室を利用した野生動物の研究や、改修した旧戸円小中学校跡地でのフィールドワ―クなどを行う。知見の地域還元として、小中学校などでの講演なども行われる予定。

 今回の協定は、同大学の田中あかね教授(動物生命科学)らが、17年に始まった同施設準備検討委員会の有識者メンバーを務めた縁から実現。田中教授は、22年に行われたシンポジウムで、細胞分析の観点からアマミノクロウサギの視力についての解説なども行っている。

 調印式で同研究院の船田良院長は「大学には野生動物や農作物の病害虫に関する研究者も多い。ヤギや(イノシシの)食害、野生動物の保護・管理に役立てるのではないか」と話した。また、野生動物管理学の観点から、同施設の存在が保護と管理両面で重要な役割を果たすと語った。

 同席した農学博士の野村義宏教授は「果物の摘果した部分の活用が専門。協力できるところは大きい」、カエルの研究が専門で、奄美市住用町に長期滞在した経験のある岩井紀子准教授は、学生を伴って調査研究する考えを明らかにした。

 伊集院幼村長は「本村が拠点となり調査研究のフィールドになる。動植物や農業に関しての期待もある。果樹などの産業振興にも生かせる」と期待を膨らませた。

 9月には、同研究院の教授らによる研究講演が大和中学校で予定されている。