牧岡奈美さん「潮見・龍宮社」で奉納ライブ

参加者を前にシマ唄で奄美の世界観を披露する、牧岡奈美さん(左)と田向美春さん

出身者らの踊りで盛り上がる会場

壁面にご神木が描かれるプロジェクトが行われる社

奄美大島の雰囲気再現
ちゃずさんとのご神木プロジェクトも

 【東京】喜界島出身の唄者・牧岡奈美さん(40)が江東区の「潮見・龍宮社」でこのほど、奉納ライブを開催。会場には奄美出身者やファン、地元の人たちが詰め掛け、満員となった。参加者らは奄美大島の雰囲気を再現したような社(やしろ)で、心地よい風に吹かれていた。
 
 「子どもの幸せを願う場所で唄えるのは、とてもうれしい」。そう話した牧岡さんは、安田民謡教室の後輩・田向美春さん(39)を伴って「朝花節」を熱唱、「皆さんと出会えたのは、まさに神の引き合わせ」と説明した。続いて「よいすら節」「塩道長浜」などを歌い上げ、奄美・加計呂麻島をこの3月9日に再現した「潮見・龍宮社」に響き渡らせていた。ライブに訪れたのは事前に予約した40人。半数が奄美出身者やファン、ほかは地元の人たちで満員に。

 運河に面した会場には、潮風が時折吹き抜け、丁寧な説明で展開されていくシマ唄の世界観を爽やかに演出していた。龍神、子育てにちなみ「雨ぐるみ」「ねんねがせ」などのほか、牧岡さんオリジナルの「南ぬ風」などポップスも披露。休憩をはさんで約2時間。充実のライブは、「ワイド節」「六調」で終了。牧岡さん、田向さんは「唄いやすかった」と笑顔で声をそろえた。

 児童発達支援施設の代表理事・青木伸二郎(54)さんは「昔の文化や母親のことを思い出し、感動しました」。衣織さん(7)、柑那ちゃん(4)と訪れた、デザイン系会社経営者・仲尾英敏さん(41)も「シマ唄は集落の唄だと(進行役の舟貝英伸さんから)説明され、納得しました。これを機に、奄美に行ってみたいです」。それぞれ初めてのシマ唄に感無量だった。

 主催者の白山天さん(42)は、2021年秋、奄美市笠利町佐仁にある厳島神社の改修工事に関わった。その後、島の人や奄美・加計呂麻島の自然に魅了され「東京で加計呂麻島の社を再現できないだろうか」と思い、東奔西走の末、たどり着いたのが潮見駅すぐの運河とつながっているビルの地下だった。「おかげさまで大成功でした」と白山さんが振り返る社では、イラストレーター・ちゃずさんと子どもたちによる、ご神木を描くプロジェクトが7月5日と6日に行われる。参加は無料。問い合わせ先は、https://shiomi-ryugusha.jp/goshinboku