県議会一般質問

所有者不明農地制度 奄美3市町が活用
鳥獣被害対策で広域捕獲主導

 県議会6月定例会は4日、引き続き一般質問があり、西髙悟議員=自民党、志布志市・曽於郡区=、藤崎剛議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=、中村素子議員=自民党、阿久根市・出水郡区=、郷原拓男議員=自民党、鹿屋市・垂水市区=が登壇した。荒廃農地解消対策で所有者不明農地の利活用を促進するため創設された所有者不明農地制度を県内では、これまでに7市町(うち3市町は奄美群島の自治体)が活用、8㌶の対策が行われたことが説明された。

 米盛幸一・農政部長の答弁によると、相続未登記等の所有者不明農地を貸借する場合、従来は農業委員会が法定相続人を探索した上で、その過半の同意を求める必要があり円滑な対策が進まなかった。そこで2018年11月に創設(農林水産省)された所有者不明農地制度では、探索する範囲を登記名義人の配偶者と子までに限定するなど簡易な手続きで農地バンクを通じた対策が可能となった。県内の実績ではこれまでに7市町が制度を活用したが、この中には奄美市(活用実績7373平方㍍)、喜界町、和泊町(同9664平方㍍)が含まれている。同制度は23年4月から農地バンクの利用権の設定期間の上限を20年から40年に引き上げたほか、農業委員会による不明所有者の探索後の公示期間を6か月から2か月に短縮している。

 荒廃農地の現状について米盛部長は「本県の22年度の荒廃農地面積は全農地面積の約1割にあたる約1万3千㌶で、うち再生利用可能な荒廃農地は約5千㌶、再利用が困難と見込まれる荒廃農地は約8千㌶となっている」と述べた。県では荒廃農地の再利用に向けて、▽多面的機能支払交付金を活用し、農業生産活動の継続や農地の保全管理などの取り組み支援▽地域計画作成のため話し合い活動を通して認定農業者など担い手に農地を集積する農地中間管理事業や荒廃農地を含む農地の簡易な整備▽鳥獣緩衝帯の設置を支援する最適土地利用総合対策事業―などを推進している。

 鳥獣被害の状況では過去3か年の県内の被害額が報告された。20年度約3億9700万円、21年度約3億3300万円、22年度3億3千万円で推移。イノシシなど獣類、ヒヨドリなど鳥類による農作物被害防止を図るため、国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用。米盛部長は「県鳥獣被害対策アドバイザー派遣などによる集落ぐるみ被害防止研修会開催や侵入防止柵の整備のほか、捕獲活動に必要な経費の支援、捕獲基金の導入支援など寄せ付けない、侵入防止、個体数を減らす三つの取り組みを総合的かつ一体的に進めている」と述べるとともに、今年度から県主導により市町村の境界をまたいだ広域捕獲に取り組むとした。

 5日も一般質問がある。