県議会12月定例会は3日、代表質問があり、自民党の宝来良治議員=鹿児島市・鹿児島郡区=、県民連合の宇都恵子議員=鹿児島市・鹿児島郡区=が登壇した。2025年度当初予算編成方針について塩田康一知事は、「かごしま未来創造ビジョン」を推進するため、基幹産業の農林水産業、観光関連産業など「稼ぐ力」の向上、地域や各種産業を支える各種人材育成について「特に力を入れる」との考えを示した。
原油価格や物価高騰に関して、知事は「国の予算を活用し必要な対策を講じる」と発言。財政運営については「高齢化の進行で扶助費が増加傾向にあることを踏まえると本県の財政状況は、予断を許さない状況が続くと見込まれる」とし、「当初予算編成にあたっては持続可能な行財政構造を構築するため、運営指針を踏まえ事務事業見直しなど歳入歳出両面にわたる徹底した行財政改革に積極的に取り組む」と述べた。
能登半島地震を踏まえて地域防災計画の修正に関する質問があり、桑代毅彦・危機管理防災局長が答弁。6月に修正された国の防災基本計画や県が被災地へ派遣した職員に実施したアンケート結果を踏まえて「半島や多くの離島を有する本県の地域特性を勘案しつつ作業を進めている」とし、具体的には▽応急復旧等を迅速に行うための緊急輸送道路警戒体制の整備▽孤立化集落対策マニュアルの修正▽パーテーション(仕切り)や段ボールベッド等の避難所開設当初からの設置▽より快適なトイレ設置への配慮▽高齢者等の要配慮者への福祉的支援の充実強化▽在宅難病患者等への停電時の対応強化▽地域が孤立した場合の物資輸送手段の確保―などに県や市町村、防災関係機関の役割に応じた見直しを行い、「今年度中に地域防災計画の見直しに取り組む」と述べた。
人手不足対策として外国人材の安定的な確保に関する質問で、技能実習生の失踪者状況が取り上げられた。北村貴志・商工労働水産部長は答弁で、2023年の技能実習生の失踪者数は全国で9753人、鹿児島県で168人と報告。全体に占める失踪者の割合は全国で2・4%、鹿児島県で2・6%となり、全国平均をやや上回っている。
労働環境の現状では昨年、労働関係法令違反疑いがある県内126の外国人材受け入れ事業所に対し、国が監督指導を行ったところ74%にあたる93事業所で同法令違反があったと報告。主な違反は安全確保の不備、割増賃金の不払いなど。北村部長は要因について業務経験の短さ、日本語の不十分さ、コミュニケーション不足で「現場での危機・危険の伝達、理解不足」を挙げ、対策として「受け入れ企業等に外国人労働者の雇用管理の改善や適正な労働条件の確保についてのセミナーを国と連携して開催するなど継続的な普及啓発を進める」と述べた。
不祥事が続いている県警の再発防止取り組みで、外部意見の取り入れに関する質問があった。11月5日付で就任した岩瀬聡・警察本部長は「外部有識者にも改革推進委員会への出席をお願いし、内輪の論理では気づかないこと、組織として至らない点などを意見していただく。また、県民のみなさんの苦情・相談も組織の改善に生かしたい」と述べ、再質問で上がった各署単位で進められている警察署協議会の議事録公開については「ホームページなどでの公開に向けて作業を進めており、なるべく早く公開するとともに、寄せられた意見を反映していく。こうした外部の意見を反映させる仕組みづくりを私の責任でやっていく」と決意を示した。
5日から一般質問(4日間)に入る。