鹿児島大産学・地域共創センター

鹿児島大産学・地域共創センター

実証ラボの前で、鹿児島大学産学・地域共創センター長の前田広人副学長(右)と森田弘光天城町長=14日、同町役場農政課

スマート農業実証
徳之島3町を訪問
キビ産地維持、地域貢献に意欲

【徳之島】鹿児島大学の産学・地域共創センターの前田広人センター長(副学長)らは14日、「徳之島のサトウキビ農業のIoT化によるスマート農業プロジェクト」で気象観測機や衛星画像などオープン実証ラボの設置・始動に連携している同3町を訪問。同大のシーズ(知識・技術)を生かした儲かる農業、人材育成など地域貢献にあらためて意欲を示し、社会実装への協力も要請した。

同農業プロジェクトは、同大産学・地域共創センターが、文部科学省の2018年度国立大学法人機能強化促進事業に採択された「南九州・南西諸島域の地域課題に応える研究成果の展開とそれを活用した社会実装による地方創生推進事業」の9課題の1つ。21年度まで4年継続事業。

3町に気象観測用フィールドサーバー(気温・湿度・風向風速・日照・地温の定時観測)を設置。人工衛星画像の経時変化でキビの生育や台風塩害など状況も把握。3町役場内に「IoT先端農業実証ラボ拠点」と位置付けたパソコンを設置した。

農政面では、作付面積・生育状況の把握、畑地かん水の利用促進の効果検証。オンライン化(IDパスワード)予定の製糖会社やJAなどはキビの生育状況、収穫量予測、単収増や糖度分析把握による刈り取り適地の判断―などにも活用。一般農家などには当面は役場で開放する。(ほか本紙13日付既報)。

産学・地域共創センター側は実証ラボの始動に関し天城町役場で会見した。同センター長の前田副学長(社会貢献推進担当)は「究極の目的は、少子高齢化・過疎の島でいかにサトウキビ産業を横ばいか右肩上がりに持っていくか。AI(人工知能)も使った省力化、生産量のキープ。徳之島に関してはキビ高効率化へのスマート農業を追究したい」。

地域活性化への大学の役割については、「いろんな専門家の研究シーズの強みを生かし、実装で地域に儲けてもらう。そして人材育成が重要」と強調。そして「鹿児島大と付き合って良かったね、と言われるように命懸けで頑張りたい」とも付け加えた。