密猟・密輸対策の素案示す

推薦書の変更内容などの説明があり世界自然遺産登録に向けた取り組みを協議した

世界自然遺産登録推進協 連携し保全管理体制

 奄美群島の世界自然遺産登録推進協議会(会長・朝山毅奄美群島広域事務組合管理者)は23日、奄美市名瀬の奄美会館会議室で2019年度の協議会を開いた。環境省、県自然保護課、県大島支庁などから再推薦された世界自然遺産登録に向けた取り組みを報告。ユネスコに提出された推薦書の変更点や、密猟・密輸対策の素案等の説明があった。環境省は関係機関と連携し、IUCNの勧告で出された外来種対策やロードキル対策など強化する意向を示した。

 会長あいさつに続いて、環境省沖縄奄美自然環境事務所の東岡礼治所長が「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産の推薦内容や、希少野生生物の密猟・密輸対策の体系フローを説明。素案は▽生息域=パトロールによる監視強化、普及啓発、注意喚起▽国内移動=保安検査等で希少な動植物が発見された場合の通報体制整備、空港や港湾での希少な動植物の持ち出し禁止呼び掛け▽国外移動=希少な動植物が発見された場合の通報体制整備、不審者の通報などの周知ポスター掲示―など。東岡所長は「小規模な推薦区域をまとまりある区域に編成し、周りを緩衝地帯(バッファーゾーン)で囲んだ」「奄美市住用町のマングローブパーク内に、自然を身近に感じられる施設として、今年度は遺産センターの基本設計を進めている」などと話した。

 続いて県自然保護課奄美世界自然遺産登録推進室の大西千代子室長が、課題などを「奄美群島持続的観光マスタープラン(概要)」の配布資料で解説。大西室長は「世界自然遺産奄美トレイルは、21年度の全線開通目指す。利用適正化で金作原や林道山クビリ線で、利用ルール試行を開始している」と述べた。

 報告の後に質疑があり、「遺産センターが徳之島にも必要ではないか」「住民の意識がまだ不十分。街中でノラネコに餌をやる人が見られる」などの質問意見が出された。

 会議終了後に報道陣の取材に対し東岡所長は「登録後も問題が出ないように、関係機関と連携し保全管理体制を強化していきたい」と強調。「世界自然遺産に向けては、希少種が持ち出されないようパトロール強化に努め、航空会社や運航会社に協力を呼び掛けて監視体制を築きたい。外来種対策やロードキル対策も強化したい」と語った。