県議会代表質問

病床転換視野、放射線治療更新
患者減少で赤字 県立大島病院の経営改善へ
新型肺炎 24医療機関に外来設置

3月定例県議会は26日から代表質問に入り、同日はいずれも自民党の藤﨑剛議員=鹿児島市・鹿児島郡区=、日高滋議員=西之表市・熊毛郡区=が行った。患者の減少で経常収支が15年ぶりに赤字となった県立大島病院の経営改善について今年4月から1病棟を休止したうえで病床
の転換を視野に入れた検討や、リニアック(放射線治療装置)の更新による医療機能の充実が説明された。

福元俊孝・県立病院事業管理者が答弁。県立病院の2019年度経営を全体でみた場合、
第二次中期事業計画にかかわる経常収支・資金収支などの黒字化という収支目標の達成は厳しい状況にあり、20年度における収益確保対策で大島病院については「リニアックを更新することにより島外で実施していた高精度放射線治療を可能とすることで患者増を図る」と説明。

さらに経営改善に向けた取り組みとして福元管理者は、▽急性期病床のみ運営しているが、診療圏人口の減少などの影響を受け病院患者の確保が困難になっている。16年度に策定された奄美医療圏の地域医療構想に今後の必要病床数は急性期病床が過剰である一方、回復期病床が大幅に不足しているとされていることから、不足する医療を提供することで県立病院の役割が果たせるよう、病床の転換を視野に入れて検討を行う▽今年度初めて「県病院まつり」を開催するなど地域住民に親しまれる病院づくりに取り組む▽17年度から整備を進めてきたリニヤックの更新による医療機能の充実を図るなど中長期的に患者確保に努める―を挙げた。

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受けて県内の現状に関する質問があった。相談・診療体制について三反園訓知事は「現在、電話による相談を通じて疑いのある人を診療体制等の整った医療機関に確実につなぐための調整を行う帰国者・接触者相談センターを県内24カ所に開設。26日現在、24の医療機関に帰国者・接触者外来を設置している」と説明。県環境保健センターにおける検査の所要時間は約6時間、1日あたり約30件の処理が可能とした。

県内における外国人労働者数は8387人(昨年10月末現在、鹿児島労働局まとめ)で、国籍別内訳ではベトナムが全体の約半数となる4240人を占め、在留資格では技能習得が5722人と全体の68・2%に及び、特定技能は19人(昨年12月末現在)の就労にとどまっている。

安定的な受入に向けて三反園知事は「県内外国人労働者数が最多のベトナムとの関係強化が重要。外国人材受入活躍推進課に新たにベトナム人材受入推進監を設置し、連携協定に基づき人手不足が深刻な業種におけるベトナム人材の安定的受入を図るとともに、農業分野等における専門家派遣や交流に取り組む」と述べた。新たな送り出し国との関係構築ではミャンマーとフィリピンを挙げ、知事は「ミャンマーは若い優秀な人材の多くが海外で働きに出ており、最も潜在可能性が高い。フィリピンは英語でのコミュニケーションがとれる利点があり、特定技能の介護の技能試験が他国に先行して実施されるなど特に介護分野で有望と考えている」とした。

多文化共生社会の実現に向けた取り組みは木場信人PR・観光戦略部長が答弁。2020年度は新たに、▽在留外国人と県民とのさらなる交流促進を図るための支援▽日本語サポーターの養成▽県ホームページの7カ国語化による多言語対応―などを行う。また、7月オープンの鹿児島国際交流センターを県民と在留外国人との交流拠点施設として積極的に活用し、県民の多文化共生意識の醸成を促進していく。