東京で「ヒギャ唄の饗宴」

右から里朋樹さん、RIKKIさん、酒井正子さん、里歩寿さん
締めの六調で会場からは踊りの輪が生まれる
RIKKIさんが20頃の映像。築地さんと
しっとりと歌い始める二人。RIKKIさんの伸びやかな声と、朋樹の確かな三味線の音が会場に響き渡った
息の合った会話で会場を沸かせる里朋樹、歩寿のきょうだい

シマ唄ファンを魅了

【東京】奄美シマウタ研究会(代表、酒井正子・川村学園女子大学名誉教授)主催の「『RIKKI&朋樹 ヒギャ唄の饗宴』~中野豊成の唄を紡いで~」がこのほど、三鷹の武蔵野芸能劇場で開かれ、大勢のシマ唄ファンでにぎわった。

今回のライブは奄美シマウタ研究会が、発足10年の記念公演として開催。同会は、月に一度、季節に合わせた島の行事を取り上げながら、酒井さんらが長年かけて集めたフィールドワークの映像の上映や、ゲストを迎えて島の暮らしに根付く奄美諸島のシマ唄への理解を深めている。

この日は、これから大きく育って欲しいとのエールを込め「古仁屋朝花会」で育てられた次世代を担う若手の唄者らを招へいした。
 築地俊造さんが生前にライブのオープニングでよく歌っていた「懐かしゃや、まれまれ拝めば懐かしゃや~」の歌を二人で歌い、幕が開いた。築地さんを彷彿とさせる二人の姿に、来場者らもステージに引き込まれていった。

朝花節、俊良主節と続いた。会場入口で配られた歌詞のプリントには、研究会ならではの深い意味も盛り込まれ、来場者らは歌の意味を確認しながら楽しんだ。

1部は里朋樹さんのオンステージ、妹の歩寿さんを相方に「山と与路島」、「嘉徳なべ加那節」など披露した。相方の歩寿さんも「行きょうおれ節」で、美声を響かせ、息の合った掛け合いで会場を沸かせた。

2部はRIKKIさんのオンステージ、朋樹さんを相方に「俊金節」、初めて習ったシマ唄と紹介して「正月着物(ぎん)」、デビューのきっかけとなる日本民謡大賞を受賞した記念の曲「むちゃ加那節」などを次々に披露した。

映像とインタビューのコーナーでは、二人がNHKに取材された映像が映し出された。里兄弟が祖父と歌う「うぎ切り節」(糸繰り節の元歌と言われている)が流れ、歌いつながれていくシマ唄の原点を来場者らも確認した。

また、デビュー前のRIKKIさんの映像は、「島を離れ都会に出て、シマ唄だけでない歌の世界を広げていきたい」と話す強い意志を持つ彼女の姿が映し出された。それぞれに、酒井さんのインタビューで当時の思い出を振り返った。

3部は三人による掛け合いの歌、踊り歌メドレーで、にぎやかに締めくくられ、客席からも踊りの輪が広がり盛り上がった。
 伯父と父が立ち上げた「古仁屋朝花会」でシマ唄を始めたRIKKIさん、「伯父をクローズアップしてくれてありがたいです」。

「おじいさんと暮らしたいので島に戻った」と朋樹さん。「90歳を越え、方言で話すようになったおじいさんと暮らせて良かった」と話す。

ゲストで出演した歩寿さんは、「夢見ていた人と共演できてうれしい」と語った。