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新年は「勝負の年」

新年は「勝負の年」

平井果樹園
気象条件に恵まれ生育良好の奄美大島のタンカン。緊急防除により島外に出荷されることなく廃棄処理となる

早期収束・根絶へ

情報の共有が課題 寄主植物除去、地域一体で成果

 果実や果菜類の重要病害虫・ミカンコミバエ種群が奄美大島で36年ぶりに確認されたことを受けて、今月13日から始まった緊急防除による寄主植物の移動規制(島外出荷禁止)。島外の需要が高く、外貨の“稼ぎ柱”であるタンカンを始め農産物に多大な影響が及んでいる。問題の早期収束とミカンコミバエの根絶に向けた防除対策は、新年が「勝負の年」とされる中、情報の共有化や地域一丸となった取り組みが成果を生み出す鍵となりそう。

 農林水産省や県大島支庁の現地対策本部によると、ミカンコミバエは6月時点で数匹を奄美市周辺で確認。南西諸島には例年、風に流されての「飛び込み」で台湾やフィリピンなどからミバエが飛来しており、初期防除(トラップやテックス板投入による誘殺)により毎年、飛来確認から3カ月で収束している。

 今回も9月いっぱいで収束の兆しがあったものの、10月に急増。9月以降、奄美大島での誘殺数は今月27日までに累計859匹が確認されている。大島支庁農林水産部の東洋行部長は「初動である初期防除は国の植物防疫所と県が連携して取り組んでいるが、これまでの取り組みで『飛び込み』を抑え込むことができていたことから、安心していたかもしれない」とした上で、36年ぶりとなった侵入・発生は温暖化などにより今後も繰り返される可能性があることから「水際で防いでいくためにも防疫や防除体制を再構築する必要がある。当初の情報提供の在り方で生産農家などから厳しい声が寄せられたが、情報の共有が課題。農家だけでなく住民を含めて地域が一体となる情報の共有化に向けて定期的な情報誌の発行などを考えていきたい」と語った。

 この情報誌では発生時期だけでなく、発生していない期間も含めて常に警戒を呼び掛けていく方針だ。

 初動体制の在り方を考察していく上で、今回の問題の検証の必要性を挙げるのは若手果樹専業農家で、JAあまみ大島事業本部奄美市果樹部会長の平井孝宜さん。「まずは防除の徹底による早期収束だが、今回の問題が起きた原因究明や責任所在の明確化は絶対に欠かすことができない。これが棚上げされては必ず同様の問題が繰り返される。原因や責任が明らかになることで不備を改善し、初動体制や初期防除を強化できる。沖縄の関係機関と連携し、沖縄並みの警戒・防除体制を確立できないと、果樹農業を安心して次の世代に引き継ぐことはできない」と訴える。

 ミカンコミバエの飛来が確認された徳之島では奄美大島の教訓を生かす形で、3町が一丸となっての「一斉対策」(捕獲用のトラップや誘殺用のテックス板投入、寄主植物の除去・廃棄)が進められ侵入・発生を阻止した。こうした地域が一つになっての取り組みが防除対策では不可欠だ。

 東部長は「買い上げ価格を設定した上での寄主植物の廃棄処理も順調(当初見込みより廃棄量が増加しており補正などでの予算措置が必要)に進んでおり、ミカンコミバエ誘殺数の大幅減少が示すようにリスクが下がりつつある。今後のキーポイントとなるのが徳之島の取り組みでみられたように地域が一丸となっての防除対策の徹底。それには地域住民の協力が前提になる」と指摘する。

 現在廃棄処理が行われている柑橘=かんきつ=類だけでなく、夏場はグアバやパパイア、冬場はシマミカンなどの在来柑橘、それにキンカンもミカンコミバエの「好適寄主植物」だ。東部長は「奄美大島南部や加計呂麻島などを見て回ったが、民家の庭木などとしてかなりの寄主植物が存在する。年末には瀬戸内町や宇検村で集落をあげて一斉に寄主植物の除去作業が行われ、年明けには1月10日に大和村が同様の一斉作業を計画している。誘殺されているのはオスだけ。寄主植物の除去はメスの駆除につながるだけに、農家だけでなく集落区長などの理解のもと地域一体となった取り組みは大きな力になる」と歓迎する。

 JAあまみ大島事業本部の岡山俊一果樹部会長は「当初はこの問題に対する温度差が懸念された。現在は寄主植物の除去・回収で、地域全体で足並みを揃えた取り組みが展開されている。島民一丸となって早期収束・早期根絶を目指すという決意の表れではないか。ミカンコミバエの生息密度を減らしていくには、放任園対策も重要。こうした情報は集落の区長が把握しているだけに、防除作業だけでなく情報の共有化の面でも行政機関、生産農家、そして地域の一体化が欠かせない」と話す。

 農林水産省消費・安全局植物防疫課の島田和彦課長は「気温が上昇する2月後半から3月にかけての誘殺状況が今後のポイントになる。現在の時期はテックス板設置による防除や、メスのミカンコミバエの産卵の可能性がある寄主植物の取り残しがないよう、各市町村が住民と連携し対策を進めてほしい」と呼び掛ける。

 気温が低下する冬場はミカンコミバエの行動が緩慢になる時期。「冬場はコントロールしやすい」とされるだけに、この時期の対策(テックス板投入による誘殺、寄主植物の除去・廃棄)は、気温が上昇する春先の生息数に影響を与える重要な取り組みになる。地域一体によって根絶が前進するはずだ。
(徳島一蔵)

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