奄美市で公開シンポ

調査研究の研究成果発表などが合ったシンポジウム

早期避難呼びかけ減災
避難所充実で二次被害防止

2015年度第1回公開シンポジウム「島嶼地域の防災・減災と福祉的地域づくり」が21日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。島嶼地域における防災と福祉の観点から基調報告があり、災害時の集落の孤立化を防ぐ手段や避難所の充実の重要性を指摘。健康被害など二重被害や災害時に孤立する可能性が高い福祉施設における避難計画など、自然災害への備えや対応策を呼びかけた。

基調講演は聖徳大学の北川慶子教授が、「島嶼地域における防災と福祉―ひとごとではない孤立化―」と題して発表。04年の中越地震など過去の自然災害では、①通信手段の断絶②情報の確認・伝達の困難状況発生③外部との物理的アクセスの断絶―を要因に、救助・救援など初動の遅れや生活物資の搬送などに支障が出たことなどを紹介。

避難所における避難生活では、プライバシーや就寝状況など生活環境の変化に伴い、生活不活病などの健康被害も懸念されることから、「一時しのぎの意味合いもあるが、避難者にとってはどこで生活するにも一生のうちの一日。安心して暮らせる質の高い住居は必須」と訴えた。

また避難時における1分当たりの歩行距離は、成人が60㍍なのに対し、幼児や歩行困難者は30㍍になることから、要配慮者・要援護者も意識した早期避難の必要性を強調。「人は自分が被災しなければ災害の実感はない。避難時には声をかけ合うことで、孤立化や被害拡大を防ぐことにつながる」と話した。

基調講演後には「福祉文化的地域づくり」をテーマとしたシンポジウムを開催。「琉球弧型互助形成に島嶼防災と地域再生実践プログラムの開発評価に関する研究」の調査研究を行う、鹿児島国際大学の教授ら4人が研究成果を報告した。