不法遺棄?カイウサギ2匹捕獲

クロウサギ生息域の県道松原轟木線で13日、相次ぎ発見・捕獲されたカイウサギ(池村茂さん撮影)

クロウサギ生息域 関係者ショック
徳之島

【徳之島】国の特別天然記念物アマミクロウサギ生息域の森林部をぬい、同観察ポイントともなっている県道松原轟木線(徳之島町轟木―天城町松原)の轟木地内で13日、カイウサギ(飼兎)2匹が相次いで発見捕獲された。ペットの遺棄とみられ、環境省など関係者は「感染症の危険性など在来種クロウサギにとって大きなリスクになる」と衝撃を受けている。

一般の通行人から「朝からクロウサギが道路に」「クロウサギが路上であまり動かない。具合が悪いのでは。車が心配」など情報がNPO法人徳之島虹の会(行山武久理事長)の関係者に。駆けつけると茶褐色系で耳なし(奇形?)の明らかなカイウサギ。

だがこの驚きも束の間、同ポイントに今度は「白いウサギがいる」との〝奇々怪々〟な情報が。虹の会会員で県希少野生動植物保護推進員の池村茂さん(59)が午後8時ごろ捕獲。「まるで路頭に迷ったウサギのごとく山にも入れず、動かずにじっとしていた」。

ちなみにカイウサギは、日本の生態学会が定めた「日本の侵略的外来種ワースト100」の1種。死亡率の高いウイルス性出血病(VHD)感染を野生のウサギに広めてしまうことが指摘されている。保護監視パトロールも担っている池村さんは「クロウサギとの交雑(雑種化)はないようだが、ウイルス病では、ノネコによる食害と同等の脅威になるのでは」と懸念。その一方で、一般住民からの情報提供・連携意識が確立されつつあることを喜んだ。

2匹は虹の会事務局を通じ、環境省徳之島自然保護官事務所(天城町役場内)に届けられた。渡邊春隆自然保護官は「感染症の危険性など、在来種のクロウサギにとって大きなリスクになる。遺棄することは動物愛護管理法(動物の愛護と適切な管理)上の違法行為にもなるのでやめて欲しい」と強調した。