対象者寄り添った支援を

福祉サービス利用支援事業の生活支援員の役割などについて学んだ養成研修

成年後見制度修了者受講
奄美市社協 早期移行へ生活支援員養成

 奄美市社会福祉協議会は20日、奄美市名瀬の同所で「福祉サービス利用支援事業 生活支援員養成研修」を開いた。「奄美市市民後見人養成講座」の修了生13人(聴講のみ含む)が受講し、福祉サービス利用支援事業の現状や役割、支援内容のほか、認知症、障がいの理解・支援について解説。受講者らは利用対象者に寄り添った支援に加え、将来的な成年後見制度への早期移行によって、対象者の生活を支えていくことに理解を深めた。

 生活支援員とは地域福祉権利擁護事業で、認知症の高齢者や知的障がい者などの、財産管理や福祉サービスを受ける権利を守る専門員。地域では一人暮らしの高齢者や地域生活に移行する精神・知的障がい者が増加しており、同事業に対するニーズが高まっていることから同研修を開催した。

 県内では1999年度のサービス開始以降、利用者数は右肩上がりで増加。2015年度末現在で949件、奄美市では36件の利用があり、全国平均と比べても高い水準にある。県社協長寿社会推進部の山下格一=まさかず=主幹は、対象者が必要なサービスを利用するために、「利用者本人の立場に立ち、福祉サービスの利用援助を行う仕組みが必要」と指摘。

 同支援員の役割や支援事例などを紹介した上で、「生活支援員が利用者のちょっとした変化に気付くことで、新たな支援につなげられる」と強調。一方で同事業の課題として、①利用対象者②財産管理③生活や身元保証④支援継続―の限界があることから「成年後見制度への円滑な移行をすることで、利用者の生活を支えていくことが求められる」と述べた。

 このほか、利用対象者となり得る認知症や精神・知的障がいの症状や支援のポイントについての講義もあった。

 同社協管内では11月末現在、生活支援員2人と社協職員6人の計8人で計43人の利用者支援を行っている。同社協は今後、受講生と雇用契約を締結して支援活動する方針で、「生活支援員と社協職員の両輪で進めていきたい」としている。