奄美実験場で飼育する近大マグロの漁業被害は約2億円に上った=近畿大学提供=
イケスで飼育中の養殖クロマグロ(資料写真)=同提供=
3700匹死ぬ 台風接近でイケスに衝突か
近大・奄美実験場
9月29から30日にかけて奄美地方に接近した台風24号の影響で、クロマグロ養殖の一大拠点で漁業被害が出た。近畿大学は11日、瀬戸内町花天の同大学水産研究所奄美実験場で飼育中の「近大マグロ」約3700匹、合計約38㌧が死んだと発表した。被害額は約2億円に上る見通し。
同大学関係者によると死んだマグロの内訳は、40㌔以上の出荷サイズが約800匹、それより小さい飼育サイズが約2900匹と推定。台風接近による波浪で奄美実験場の沖合に設置されたイケス8基周辺の海水がにごり、興奮したマグロがイケス網に接触したことが主な要因とみており、さらに飼育するマグロの約半分が死んだことも明らかにした。
なおイケス本体に被害はなかったが、高潮で陸上倉庫が消失するなど施設被害があったという。同水産研究所担当者は被害について、「近年、記憶にないほど異例の(波の)強さだった。被害の大きさに驚いており、今後の対策を含め調査を進めたい」としている。