3年前保護のアカウミガメ放流

3年前保護のアカウミガメ放流

大勢の人たちに見守られながら海を目指すアカウミガメ

大浜海岸で親子連れら100人見守る
奄美海洋展示館

 奄美市の奄美海洋展示館で飼育されているアカウミガメの放流が9日、大浜海岸であり、親子連れら約100人が見守るなか、ウミガメは元気に海へ帰っていった。

 放流されたアカウミガメは、2016年8月に同海岸の砂浜でふ化、海に戻ることができず、保護された3匹のうちの1匹で、保護時の大きさは、甲長(甲羅の長さ)4・5㌢、体重20㌘だった。

 3匹とも同展示館が展示飼育。うち2匹は昨年8月に放流したが、今回放流した1匹は、成長が遅く、片方の前ヒレの動きが悪かったことなどから飼育を継続していた。保護から約3年、前ヒレの動きも良くなり、泳ぎも問題なくなったことから放流が決まった。

 放流には、奄美海洋生物研究会の興克樹会長も参加。前ヒレに日本ウミガメ協議会の識別タグを取り付け、計測も行った。甲長は47㌢だった。性別はまだ分かっておらず、メスだった場合には、産卵時に大浜に戻ってくる可能性もある。

 大浜海岸に運ばれたアカウミガメは、10分ほどかけ、ゆっくりと波打ち際まで約30㍍の砂浜を歩き、多くの親子連れが見守る中、海の中に入っていった。カメの姿が見えなくなるまで、「元気でね」「大きくなってまた帰ってきてね」と手を振る子どもたちの姿も見られた。

 興会長に生まれてから約30年で産卵可能な親ガメに成長することなどを教えてもらった奄美小2年、茂野晴馬君(7)は「早く大きくになってまた帰ってきてほしい」などと話した。
興会長は「自然の中でも十分に生きていけるくらいに成長した。大きくなって、繁殖のためまた奄美の海に戻ってきてほしい」と話した。

 同展示館ではこのほか、アカウミガメ3匹、アオウミガメ8匹を飼育。今後も、ウミガメの成長を見ながら、放流を行うことにしている。