フワガネク 遺跡保存活用計画策定委

小湊フワガネク遺跡の保存活用計画の策定に向けパブリックコメントの実施などを確認した

史跡の追加指定検討
10月までに素案まとめ意見公募

 国史跡「小湊フワガネク遺跡」の第2回保存活用計画策定委員会が30日、奄美市名瀬の奄美博物館研修室で開かれた。学識経験者や地元、市役所関係部署の委員が参加し、保存活用の具体的な計画づくりに意見を交わした。第1回委員会での指摘事項に対する市の回答や、史跡の現状変更、追加指定などを検討。事務局は出された意見などを基に素案をまとめ、地元住民にパブリックコメントを実施し計画づくりに反映させる方針。次回の策定委員会は10月下旬を予定している。

 この日の委員会に専門委員4人、地元委員3人、庁内委員3人と文化庁や県文化財課からのオブザーバ2人、事務局5人の計17人が出席。池田榮史委員長(琉球大学教授)が議長となり、協議を進行した。

 今年2月開催の第1回委員会で、▽砂丘の土地利用図を作成する▽指定地の最新の地権者や法定相続人の把握▽史跡の追加指定は緩衝地帯やソテツの景観保全を考慮する―などが各委員から指摘されていた。事務局は「現状把握を詳細に行い、土地利用図を作成して計画づくりの資料とする」「必要分の地権者確認を行い、最新の情報を示す」「追加指定は史跡の万全な保存に重要なものと認識する。文化庁や県教委の指導を受け、追加指定の方向性を協議する」などと回答した。

 羽田麻美委員(琉球大学准教授)が、自然環境調査報告で遺跡の海浜地形を発表。「小湊海岸は海岸浸食が進んでおり、防潮堤が破壊され砂丘が浸食される可能性を考慮する必要があるだろう」と語った。

 史跡の保存について、事務局が恒久的保存や公有化の検討など方向性を説明。「史跡の立地する砂丘全体の指定を進める。ハザードマップ等との関連や、ソテツ利用の農業の文化的景観保全を図り、住民が保全活用に積極的に参加する仕組みづくりを行う」とした。

 地元委員の小湊町内会・東郷武会長は「史跡の追加指定や公有化を検討するなら、地元に情報を随時提供してもらいたい」などと要望。委員からパブリックコメントの必要性も指摘され、計画作成スケジュールに事務局が10月までに素案を作り、意見公募して地域住民の声を計画に盛り込むことなどを確認した

 第3回会議は、10月最終週に開催予定。まとめられた素案を検討し史跡の活用・整備などを協議する。