奄美高生徒が、外国人観光客にコース料理をふるまった
奄高レストランヘようこそ――。奄美市名瀬の奄美高校(堀之内尚郎校長、生徒418人)は2日、校内でインバウンド(外国人観光客)を対象に地元食材を使ったフルコースを無償で提供する「奄高レストラン」を開いた。同日、名瀬港に到着した台湾クルーズ船「サン・プリンセス」号の乗船客48人を招待。生徒たちは工夫と心を込めた料理と笑顔の接客でもてなした。
このプロジェクトは国の助成事業を活用。生徒主体のレストランを開設し、インバウンドを対象に奄美の魅力PRにつなげる狙い。 同校各学科の3年生が中心となり、コース料理のメニューづくりと調理、接客を行った。
料理やサービスは大阪フレンチレストランのオーナーシェフ・黒岩功さん(鹿児島市出身)ほか、スペシャリストが監修。生徒のアイデアを生かし、奄美の食材を活用した和洋折衷のメニューを完成させた。
コースは、▽オードブル=シビと青パパイアのタルタル▽三献=椀、炊き合わせ、かき揚げ▽魚料理=エラブチのジャポネソース▽煮物=塩豚や冬瓜(トウガン)などの旨煮▽飯物=鶏飯▽デザート=オリジナルスウィーツ―の6品。
港からバスで到着した乗船客に、生徒は「いらっしゃいませ」と出迎え。郷土芸能やハンドマッサージでくつろがせ、食事をする特設会場に案内した。
乗船客が4人式のテーブルにつくと食事の進み具合を見ながら料理を出したり、皿を下げたり。本物のレストランさながらに接客と給仕サービスを行い、「鶏飯は島料理です」などと説明する場面も。
台北市から来た、大学教授の陳玉燕さんは「料理はどれもおいしかった。鶏飯のあっさりスープは台湾人の口に合う」と絶賛。生徒の心配りにも目を細め、「帰国後、この体験で感動したことを周囲に伝えます」と約束した。
3年間のプロジェクトは今年度で終了。黒岩さんは「学校の協力があってこそ実現できた。生徒にとって、この体験はこれからの人生に大いに役立つと思う」と振り返った。
商業科総括リーダーの3年・三原ゆう子さんは「仲間と一緒に取り組んできた成果が出た。達成感でいっぱいです」と話した。