過去最大のクルーズ船寄港中止に

奄美大島寄港のクルーズ計画が中止となったセレブリティ・ミレニアム(ミキ・ツーリストホームページより)

新型肺炎影響5月に名瀬港
「残念だがやむを得ない」

 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、5月に奄美大島への寄港を予定していた大型クルーズ船「セレブリティ・ミレニアム」(9万940㌧)=米国企業所有=の運航が中止となったことが19日、分かった。世界的にクルーズ船の予約キャンセルが相次ぎ、運航会社が計画を中止する動きが広がるなか、奄美大島のクルーズ観光にも影響が出始めたことに、観光関係者らは「感染拡大が続けばさらなる影響も出てくる」と不安を募らせている。 

 同船をチャーターしクルーズを計画していた日本代理店㈱ミキ・ツーリストが17日、ホームページ上で2月~5月に予定していたクルーズ運航の中止を発表した。18日に同ツーリストから連絡を受けたという市紬観光課の島袋修課長は「新型コロナウイルスの感染が広がり、クルーズ運航への影響を心配していただけに残念。ただ、感染リスクを考えると仕方がない」と話した。

 同課などによると、同船はこれまで名瀬港に入港したクルーズ船の中で最大。計画では5月2日に横浜を出発、4日に奄美に寄港し、石垣島や台湾などを巡り横浜に戻る9日間のクルーズで、観光客ら約2000人が乗船予定だったという。

 クルーズ船の経済効果としては、市が過去に名瀬港に寄港したクルーズ船「サンプリンセス」(乗客約2200人)の寄港で約5800万円と試算。今回のセレブリティ・ミレニアムも同程度の経済効果が期待されていた。

 クルーズ船の寄港時に歓迎セレモニーを行うなど受入れの中心となって活動している、あまみ大島観光物産連盟の境田清一郎事務局長は「5月の大型連休期間の寄港ということもあり、観光業界全体で受け入れ準備を進めていた。奄美のクルーズ観光にとっても大きな弾みとなると期待していただけに残念」と話す一方、「新型肺炎への不安を考えるとやむを得ない。中止となったが、準備段階で培った経験は無駄ではない。次に生かせるよう活動を継続していきたい」と話した。

 19年度、これまでに奄美市・名瀬港に寄港したクルーズ船は19隻で、今後2、3月に予定されている寄港は4回。市紬観光課によると、セレブリティ・ミレニアム以外のクルーズ計画に変更はない。ただ、乗船客のキャンセルも相次いでおり、2月24日に同港に寄港するクルーズ船「「ぱしふぃっくびいなす」は、当初約220人だった乗船客が約150人に減った。

 島袋課長は「感染拡大に歯止めがかからなければ、さらにキャンセルが増え、運航計画を見直す動きが出てくるかもしれない」と懸念する。

 同船の寄港時には、歓迎セレモニーなどが行われるが、船内で計画していたイベントについては中止となった。境田事務局長は「今回来島する観光客は日本人で、安全対策などもしっかり行われている。岸壁での歓迎セレモニーなどは予定通り行い、観光客をもてなしたい」と話している。