子牛相場、大幅下落

平均価格62万円台 15年11月以来の下げ
新型コロナ影響で消費低迷
大島地区3月子牛セリ

 JA県経済連肉用牛課奄美市駐在は10日、3月の大島地区子牛セリ市結果をまとめた。市況をみると、価格の総平均は62万8553円で、前回(今年1月セリ)比6万538円安と大幅に相場を下げた。62万円台まで下落したのは2015年11月セリの60万2538円以来。暖冬による牛肉の消費・販売不振に加え、感染が拡大している新型コロナウイルスの影響による消費の冷え込みが打撃となった。

 3日の与論市場を皮切りに9日の喜界市場まで行われた今回のセリ市の入場頭数は1684頭(めす660頭、去勢1024頭)で、全頭数が売却された。

 平均価格は、めす55万7826円(前回比5万4589円安、8・9%減)、去勢67万4140円(同6万6675円安、9%減)。合計平均価格にかかわる市場ごとの順位をみると、瀬戸内の64万3289円を筆頭に、徳之島、沖永良部、笠利、与論、喜界の順。購買者から見た子牛評価の指標である平均単価で市場を格付けすると、沖永良部の2455円(キロ当たり)を筆頭に、徳之島、瀬戸内、喜界、与論、笠利の順となっている。

 セリ日齢にかかわる市場ごとの若齢順位は、瀬戸内253日、沖永良部253・7日、喜界259日、徳之島261日、与論263日、笠利263日の順。

 今回のセリ市について奄美市駐在は「昨年末の暖冬による鍋物を中心とした牛肉の消費・販売不振に加え、増税や新型コロナウイルスの影響による消費の冷え込みが重なったことから、大きく平均価格を下げることとなった」と指摘。新型コロナの影響で外出を控える動きが広がり、特に外食、百貨店、量販店向けの枝肉の動きが鈍く、和牛の消費をけん引してきた外食やインバウンドの消費が大きく減っている影響が子牛相場に顕著に反映されたとしている。

 相場を左右したのが子牛購買者の選別。▽牛肉の消費の鈍いA4等級以下になりそうなもの▽枝肉重量の見込めないような子牛(多産牛、血統の古いもの、体高のないもの、発育遅滞のもの)については特に引き合いが弱く、大きく価格を下げた。一方で、産歴の若いもの、血統の良好なものについては、引き合いが強く、高価格(80万円以上)で取引された。世界的に深刻な問題となっている新型コロナは終息の見通しが立たず、枝肉流通への影響は長期化すると見られている。

 同駐在は「今後も牛肉の消費が見込めない状況では、子牛価格は下げ基調だろう。子牛生産産地としては母牛の更新、いい血統の確保、発育面では骨格の良さなど購買者の求める、欲しい子牛づくりを実現すれば、厳しい相場が続いても高値で取引される。有利販売につながる子牛生産を」と呼び掛けている。