海岸清掃を続ける須野崎原集落の住民ら
奄美市笠利町の須野、崎原両集落は、昨年2月から毎月第一日曜を「海の日」と定め、住民らで集落内の海岸の漂着ごみを回収するなど清掃活動を続けている。早朝に住民10~20人ほどが約1時間かけて、600㍍ほどの砂浜を散策しながら、漂着したペットボトルやプラスチックごみ、流木などを拾い集めている。活動を始めた崎原集落の元多勝区長(67)は、「きれいな海岸がごみで汚れていくのを見て何とかしたいと思った。みんなで清掃することで地域の活性化にもつながっている」と話す。
1日午前8時ごろ同町のあやまる岬と土盛海岸の間に位置する集落前の海岸に25人ほどの住民が集まり、砂浜に打ち寄せられた漂着ごみを拾い集めた。発泡スチロールやペットボトル、流木などごみ袋約20袋のごみが集まったが、元多区長は「1年前に比べると大分減った。みんなが少しずつごみを拾い続けたことで、きれいな砂浜が戻ってきた」と喜ぶ。
元多区長は7年前、定年退職を機に愛知県からふるさとの同集落に戻ってきたが、子どもの頃遊んだ記憶のある砂浜には、漂着ごみが打ち寄せられ「昔のようなきれいな海岸ではなくなっていた」という。
知人らと時折、ごみ拾いなどをしていたが、「どうせするなら集落みんなでやったほうがいい」と考え、「勝手に海の日をつくった。健康づくりもかねて砂浜を歩きながら、ごみを拾い海岸をきれいにする。住民同士のコミュニケーションにもなっている」と話す。
活動を継続するため、県が行っている「みんなの水辺サポート推進事業」の補助金交付も受けている。年間3万円を上限とする補助金は、集落の重要な活動費となっている。
一緒に活動を行っている上村広和さん(56)は「清掃活動をするようになり、ふるさとの海岸をみんなで守っていこうと、集落全体の美化意識も変わってきた。周辺の集落でも同様の活動が広がってほしい」と話す。
同集落周辺には、あやまる岬や土盛海岸などの景勝地もあり、観光シーズンには多くの観光客らでにぎわう。元多区長は「海岸は集落の宝、これからも美しい景観をみんなで守っていきたい」と話した。