サトウキビ 太茎種で黒糖づくり

長いものは長さ4㍍を超すものも生えているサトウキビ畑
太茎種からできたキビジュース(左)と1パック100㌘の手づくり黒糖(右)

「昔ながらの味楽しんで」
龍郷町久場の西郷松本舗

龍郷町久場にある西郷松本舗(岩崎晴海代表)では、自家栽培のサトウキビ「太茎種」による黒糖づくりが本格化している。岩崎さんは、「昨年は台風の被害もなく順調に生育し、今後の収穫量も増えるだろう。昔懐かしい味を楽しんでもらえれば」と手づくり製品「こだわりの黒糖 じいちゅんが」をPRする。

西郷松本舗は、幕末に西郷隆盛が幕府の追及を逃れるため菊池源吾と変名して奄美大島に潜居するため上陸した場所に立地する。以前は敷地内に西郷を乗せた船がとも綱を結んだ西郷松が生えていた。

岩崎さんは知人から太茎種の株を譲り受け、自身の所有する同町龍郷の町指定文化財・仏像墓近くの畑(約20㌃)で3年前から栽培。毎年株分けしながら面積を増やし、収穫した太茎種を機械でしぼり汁を煮詰めて手づくり黒糖などとして販売している。

独立行政法人農畜産業振興機構・九州沖縄農業研究センターの杉本明研究管理監は情報誌『砂糖類情報』で、「太茎種は戦前の日本に導入された海外品種で、江戸時代に中国から持ち込まれた中国細茎種に比べ、糖度・収量に飛躍的な向上をもたらした。高品質黒糖の原料としての適性は高いが、茎が折れやすく収穫後の株再生力に劣るなどの弱点で、現在は面積も減り分蜜糖原料としての栽培はみられなくなっている」と太茎種の特徴などを紹介している。

岩崎さんは太茎種の黒糖づくりについて、「機械でしぼると汁が多く出るので、少しの収穫で必要な量を確保できる。煮詰めるのに2時間半ぐらいかかるが味は申し分ない」と話した。

太茎種の収穫は6月ごろまで、続く見込みだという。