龍郷町企画観光課の園田徳一課長(右)へ要望書を手渡す奄美の自然を考える会の森山力藏事務局長(左から2人目)
龍郷町で確認した外来種のセンダンキササゲ
「奄美の自然を考える会」(泉辰郎会長)、「奄美シダ類研究会」(森田秀一会長)、「奄美野鳥の会」(鳥飼久裕会長)の3団体は連名で3日、外来種の「センダンキササゲの早期調査ならびに駆除に関する要望書」(要望事項3項目)を龍郷町、奄美市、環境省奄美野生生物保護センターへ提出、協力を呼び掛けた。奄美の自然を考える会メンバーは、同会会員の調査を基に作成した龍郷町と奄美市名瀬地区を対象にした分布地図や写真を添付し、「一度に生産されるタネの数が多い。風、鳥などによって民家にも分布が広がっており、さらなる分布拡大を懸念している」などと指摘している。
要望事項は①広まりつつあるセンダンキササゲの早期実態調査を実施してほしい②外来種、特にセンダンキササゲの駆除の具体的計画を立ててほしい③奄美に増えつつある外来種について、情報交換の場を設定してほしい―との内容。
要望書では「奄美大島で近年広まりつつある外来種に対して危惧している。特にセンダンキササゲは台湾ならびに中国南部以南に分布する、高さ10㍍以上になる『ノウゼンカズラ科』の木本で、奄美大島には比較的近年に人為的に導入された外来種。本種は外来種としては今のところ、まだ問題視されておらず、環境省の生態系被害防止外来種リストや鹿児島県の外来種リストに名が挙がっていない」「しかし、添付写真に示すように、島内において奄美市名瀬や龍郷町を中心に、すでに野外に逸出している。また、龍郷町の一部では、固有種であるアマミクサアジサイの生息する付近まで分布を広げている状態」と危惧している。
また、「センダンキササゲは、生長が早く、大木になり、一度に生産されるタネの数が多く、軽くて風で容易に散布されるといった性質があり、鳥類による分布拡大の可能性も考えられる。このまま放置しておくと、奄美の山野に広まる恐れがあると推測される」「すでに沖縄県では、一部で注視注目されているようです。私たちも早期駆除に向けて精力的に協力していきたいと思う」と指摘している。
最初に同日午前、奄美の自然を考える会の泉会長、森山力藏事務局長、田畑満大顧問が龍郷町役場を訪問。園田徳一企画観光課長へ要望書を手渡した。
その後、同会が調査したセンダンキササゲの現状などについて説明し、協力を求め、町役場の出席者4人からの質問に答えた。
午後に奄美市、環境省奄美野生生物保護センターを訪問し、要望書を提出した。
同会メンバーは「外来種と知らず、自宅に植えている人がいるかもしれない。啓発していくことが大事だ」と話した。