全校児童が「常(つね)さん」に

新型ウイルス対策の簡略入学式で祝福を受けた常仁之助くん=6日、伊仙町馬根小

全校の「常さん」が祝福メッセージの写真でエールを送った=馬根小

伊仙町馬根小 保護者もファーストネームで
入学式に1人臨む

 【徳之島】6日の伊仙町立馬根小学校(茶屋大作校長、児童数9人)の入学式には、常仁之助くん(6)1人が小さな胸を希望でふくらませて臨んだ。併せて全校児童9人の苗字が「常」姓一色に。学校、保護者間もファーストネームで呼び合うなど、極小規模校ならではの親近感と連携も生んでいるようだ。

 新型コロナウイルス対策のため、在校児童ら同席や来賓招待は一切行わず本人と学校、保護者のみで挙行。在校生8人は、仁之助くんへの祝福のメッセージを掲げた自分たちの写真を会場(体育館)に掲げてエールを送った。茶屋校長は式辞で「きょうから立派な一年生。何でも自分でできて、しっかりとしたあいさつと温かい言葉で」と激励。記念品贈呈を含め10分足らずで式を終えた。

 現在の「伊仙中部ダム」周辺を中心としたかつての中山間地域に開発された馬根小校区(馬根・中山集落計89世帯・149人)。同小は1922(大正11)年5月に犬田布尋常高等小・馬根仮教場、鹿浦小同仮教場を経て53(同28)年11月に伊仙村立馬根小学校として創立。少子高齢化の進行で、今年度在籍児童は1年生1人、2年生2人、3年生同、4年生1人、5年生2人、6年生1人(保護者世帯5戸)に。

 両集落の嶺津太郎区長(74)は「馬根は常さん、四本さん、稲さんの姓で占めている。若い転入者の関係で偶然だが、全児童の同一姓は初めて」。前年度は11人中10人が「常さん」。今年3年目の茶屋校長は「最初は戸惑った。否応なしに名前で呼ぶので親しみも深まる。基本的には親戚関係にあり、啓発や協力連携がしやすい利点も」とにっこり。

 仁之助くんは新1年生として「おべんきょうをいっぱいして、おにちゃんおねえちゃんたちと(ペットボトル)ロケットあそびもしたい」。母ことみさん(43)は「教職員や保護者間も名前で呼び合うなど親しみ深く、(姉兄を含め)勉強も細やかに教えていただくなど小規模校の良さもあります」とも。