神事のみで「戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊戦没将士」を慰霊した関係者=7日、伊仙町犬田布岬
【徳之島】第53回戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊戦没将士慰霊祭(同実行委員会主催)は7日、新型コロナウイルス感染症対策のため慰霊の神事のみを挙行。沖縄戦線への海上特攻に駆り出されて出撃の途上、米軍機に撃沈され艦と運命を共にした戦没将士3737柱に、変わらぬ鎮魂と平和希求の祈りを捧げた。
戦艦大和(72、809㌧)を旗艦とする旧日本海軍第二艦隊の10隻は、第2次世界大戦末期の1945(昭和20)年4月6日、沖縄に上陸した米軍に対する海上特攻のため山口県徳山港沖を出撃。しかし、鹿児島の西南西約3㌔を南下中の7日午後、米軍艦載機の猛攻で大和をはじめ巡洋艦や駆逐艦など計6隻が撃沈され、乗組員・将兵合わせ3737人の若い命が奪われた。
伊仙町当局など実行委員会は毎年4月7日を中心に、慰霊塔が建立されている犬田布岬で慰霊祭を続行。関係機関・団体や住民など関係者100人前後が例年参列しているが、今回は新型コロナウイルス対策のため「中止」の形を取り、町当局や議会代表、住民代表の計17人に止めた。
花曇りの穏やかな天気の下、慰霊の神事に続き、大和の沈没時刻とされる午後2時23分に黙とうを捧げ、大久保明町長ら全員が玉串を捧げて冥福を祈った。奈良県天理市・大和神社「戦艦大和・第二艦隊戦没者慰霊祭」実行委員の山田勇氏からは慰霊のメッセージも寄せられ朗読披露された。
大久保町長は「新型コロナであらゆる行事イベントが中止・自粛・縮小しているが、戦没者の方々のため異例の神事のみを行うことに意義があると決断した」。地元・西犬田布集落の松岡洋仁区長(66)は「縮小しつつも慰霊祭を続けることが大事。とうばる集落(西犬田布)の年中行事にもなっている」と継続に感謝していた。