龍郷町戸口の沖合を低空飛行する米軍輸送機「C―130」(市民提供 4月8日午後3時ごろ撮影)
県危機管理局はこのほど、米軍機による低空飛行の2019年度県内情報提供数(速報)をまとめた。計86件(前年度77件)の中で、奄美群島内での情報提供数は半分を占める44件(同35件)に上り、このうち防衛省九州防衛局は34件(同18件)を「米軍機の可能性あり」と回答した。機種や目的について米軍側は明らかにしていないという。
県内で「米軍機」とする低空飛行の目撃情報数は年々増えており、16年度以降は80件前後と一定数ある。同局は「住民から、自治体に届けられた情報に対する確認分」としており、未提供分を考慮すると実態数は多いと見られる。
低空飛行とは、航空法上、最低安全高度(住宅密集地域で最も高い建物から300㍍、その他は地上から150㍍)以下の飛行を指す。近年、奄美市内での目撃例はオスプレイ、C―130など米軍輸送機がほとんどだ。
これまでも名瀬市街地の上空や周辺を飛行する目撃情報が市民から寄せられているが、今年は特にC―130機の目撃するケースが目立つ。同2機が3月、低空飛行で海側から市街地を編隊飛行。4月、龍郷町戸口の沖合を飛行した機体は、後部ハッチを開けており、隊員が待機している様子も確認できたという。
4月の機体は、登録番号から米軍横田基地配備と推察。奄美大島を含む南西諸島で訓練が展開されているとの見方も出ている。
市民団体「奄美ブロック護憲平和フォーラム」は、昨年3月に開設した奄美駐屯地=奄美市名瀬大熊=の外周付近を飛行する目撃例も少なくないと指摘。県に対し積極的に目撃情報を提供していることを明かした。
同団体の城村典文事務局長は「米軍は、島内で実践的訓練を展開している可能性が高い。この事態を放置する自治体の姿勢に疑問を感じる」と述べ、米軍機による低空飛行の恒常化に危機感を募らせている。