新型コロナ対策で県に要望書

田中支庁長(左)に緊急要望書を提出する朝山市長ら5市町村の首長

行動歴など詳細情報提供を
奄美大島5市町村

 奄美大島5市町村の首長で組織する「奄美大島新型コロナウイルス感染症対策本部会議」(会長=朝山毅奄美市長)は22日、感染者や濃厚接触者などに関する情報を5市町村と共有し、感染防止のための水際対策強化と島内の医療体制の十分な確保などを求める緊急要望書を県に提出した。朝山市長ら5市町村の首長が県大島支庁を訪れ、田中完支庁長に手渡した。

 要望書は、17日に奄美市で2人の感染者が確認されたことを受け、「市町村域に関係なく、住民の不安が極めて高まっている」とし、県に対し、▽感染症に関する情報は迅速かつ詳細に5市町村と共有する▽感染リスク拡大を阻止するため水際対策を強化▽医療体制の十分な確保を図る―の3項目を求めている。

 情報の共有では、17日に判明した感染者について、性別や年代、職業、居住地など地元自治体に伝えられた情報が限定的だったことなどから「集団感染(クラスター)発生防止等に向けた市町村による機動的な初動対応のためには、正確かつ迅速な情報を住民に届ける必要がある」とし、感染者や濃厚接触者の生活圏や行動歴、島内での移動手段など、より詳細な情報提供を求めている。

 水際対策では現在、奄美空港で実施しているサーモグラフィー検査を離島航路の玄関口である名瀬港と古仁屋漁港(古仁屋港)でも実施するよう要望。医療体制の確保については、「感染症が発生した場合、通常の医療受診などに影響を及ぼさないよう、医療機関の連携態勢の構築」なども要請している。

 要望書を提出した朝山市長は「感染対策には万全を期してきたが、奄美市で感染者が出たことでなお一層、緊張感を持って対応しないといけない。特に5月の連休を控え、交流人口の多い奄美においては来島者、地元の住民についても不要不急の外出を控えてもらう必要がある。今後も住民の不安を少しでも払しょくできるよう、県などとの連携に努めたい」と話し、要望書を受け取った田中支庁長は「要望はしっかりと担当課に伝え、感染防止のための対策がしっかり行えるよう、5市町村との連携を深めたい」としている。