「郷友会」にも深刻な影響

「郷友会」にも深刻な影響

新型コロナウイルス感染が終息し、故郷の人たちが集まる機会を一日も早く望む=2018年の東京奄美会芸能祭から

奄美出身者の親睦の場 軒並み中止に
神戸奄美会、記念誌発行に意欲

 新型コロナウイルスの感染が、奄美出身者たちの親睦団体「郷友会」にも深刻な影響を与えている。恒例の総会及び懇親会が軒並み中止になっているのだ。

 真っ先に中止にした東京瀬戸内会の山田幸一郎会長は「1月末の時点での判断。当時は、まだ早い、様子を見てからでもとの声も一部ありました。ですが、決断してよかった」と振り返る。郷友会のトップを切る形で連休中に予定していた同会だが、400人規模の参加会員の安全を最優先した対応は英断だろう。100年以上の歴史を誇る、東京沖洲会(今榮前勝会長)も緊急事態宣言、外出自粛要請、役員会の中止など七つの理由を挙げ、5月31日の開催中止を4月12日付けでホームページ上に掲載した。

 役員改選時期とあって、新会長の推薦と立候補の届け出の案内も載せている。また、7月19日の東京名瀬会(川崎末一会長)、は中止、同23日の関東徳之島町会(杉原圭介会長)も、中止の方向で検討に入った。校区会でも赤木名、節田(ともに奄美市)、校友会でも国頭、知名(ともに沖永良部)が見送られた。7月23日予定の配田ケ丘同窓会総会もなくなった。

 これら各郷友会を束ねる東京奄美会も、1月19日の賀詞交歓会以来、活動は鈍化に。「役員会は持てませんね。大江(修造)会長、役員らとメール、LⅠNEなどで情報交換し、コロナの状況を見ながら判断して案内している」とは、勝光重幹事長。東京奄美会は8月1日に文化講演会、さらに、10月25日に有楽町のよみうりホールで芸能祭の主催予定だが、このままでは厳しい。大江会長は「緊急事態宣言明けの情勢を見極めた上、役員らと連携を取り合って会員のために最善策を講じたい」としている。

 苦渋の決断がされる前に、絶妙のタイミングで行われたのが2月23日の「第8回『とくの島』観光・物産フェア」。代々木公園を舞台に、2万人が集うビッグイベントだ。主催者として指揮を執ったのは、埼玉でクリニックを営む関東徳州会の井上脩士会長。出店者のマスク着用、体調管理はもちろん、入口には人員を常時配置、入場者をつかまえては指に消毒用アルコールを噴霧。また、場内を回って来場者の手を消毒するなど、感染予防を徹底。実に消毒用アルコールは、10㍑も用意された。

 医師でもある伊仙町の大久保明町長が出席したのも心強かったという井上会長は「開催を反対される方々の気持ちも理解できるので、参加できる人でフェアを盛り上げることにしました」と語る。その後、イベント参加者から感染の情報は伝わっていない。今回はさすがに半減したが、自粛ムードで縮んだ人たちの心を、解きほぐしたに違いない。井上会長は「発熱などのかぜ症状の方にはできるだけ午後の受診を、コロナ疑いの方には、まず保健所への連絡を」とアドバイス。クリニックの職員には、免疫力を上げる補中益気湯を内服させているそうだ。

 同日行われる予定だった関西奄美会総会「103回総会並びに新春互例会」も中止となった。壽満男顧問(当時、関西奄美会会長代行)は、こう説明する。「2月に入った段階で、決定しました。99%の人が中止もやむなしという感じでしたね」。

 一方、神戸奄美会は、11月1日に中央区の神戸文化ホール(大ホール)で「90周年の総会」を控えている。総会に向けて、40人の実行委員会が結成された。中井和久会長は「10人ぐらいに分けて、人が密にならないよう会合をしています。2千人規模のイベントだけに、用意するものはたくさんあるが、コロナによりスケジュールも未定。ただ、記念誌は、たとえイベントがなくなろうとも絶対に出します」と力強い。

 会場の職員削減によりキャンセル料などの詳細は不透明だが、「記念誌発行のエネルギーは、総会の日に合わせるのがベストだ」(中井会長)。記念誌と総会の同日の結実に意欲的だ。

 東京住用会(井上雅仁会長)は、5月24日から10月11日に延期したように、半数の郷友会は、総会・懇親会を秋に計画している。その頃には感染が終息し、皆が満面の笑顔で総踊りをする場に臨みたい。
 (高田賢一)