「地域の守りの要と知って」

避けられない3密の中 感染対策強化
国の補助金を活用
休めない保育園の現場

 県は24日、新型コロナウイル感染拡大防止のため学校や幼稚園を含む99の業種に休業要請を出したが、その中に保育所(園)は含まれていない。厚生労働省のホームページによると、保育所などが休業しない理由として、「保護者が働いており、家に1人でいることができない年齢の子どもが利用するものであること」などがあげられている。送り迎え時の人の出入りや園児との接触を避けられない保育現場では、更なる感染対策強化の対応に追われている。

 奄美市の名瀬地区保育連合会長を務める大津幸久小宿保育園長(60)は、「3密(密閉・密着・密室)は避けられない上で、できる限りの対策を行っている。保育所は地域のインフラを担う職業につく保護者の方々の子どもも預かる場所。保護者が安心して働くために、保育所の開園は必要不可欠。医療機関や介護施設などと同様に、地域を守る要となっていることを知ってもらいたい」と訴える。

 奄美市で感染が確認された17日から、自宅保育が可能な家庭には引き続き登園自粛を促している。現在未就学児91人のうち、約35%が登園を自粛しているという。

 感染対策として、新型コロナウイルスが発症する前から園内の感染予防として置かれている空気清浄機に加え、▽新たに必要とみられる場所にオゾンを用いた除菌装置や次亜塩素酸水を噴霧する機材などを設置(全保育室、玄関、職員室、配膳室、業者の出入り口などに対応)▽園児に加え保護者も登園時に検温▽両者、またはどちらかに発熱を確認した場合の帰宅を要請▽退園時の迎えを保育室ではなく玄関までに範囲を狭めるーなど「思いつく限りの感染対策を行い、状況に合わせ対策レベルを上げている。その中で園児が不安にならないよう、精神的なケアも含め保育士が力を尽くしている」と大津園長は語った。

 同園の豊さつき保育主任(60)は「引き続き保護者の方が安心して働くことが出来るよう最善を尽くして行く」と表情を引き締めた。

 3月10日に政府から各都道府県へ「新型コロナウイルスの第2段緊急対策の保育対策総合支援事業費補助金」の案内が出された。鹿児島県は同日、奄美群島の12市町村の対象施設(①保育所②一時預かり事業所③病児保育事業所)へ通知した。県子育て支援課によると、12市町村のうち5市町村から申請があったという。奄美市福祉政策課によると、通知を受け、18ある対象施設のうち、17の施設が補助金を申請したとしている。

 内容は感染対策で用いる空気清浄機や除菌水などの用品を、各施設上限50万円支援するというものだ。