瀬戸内町商工会 アンケートで厳しさ浮き彫り

新型コロナウイルスの感染拡大による自粛要請で、臨時休業する店が相次ぐ古仁屋市街地(写真はイメージ)

「3カ月以内に経営危機か」に6割回答
商店街の苦境 町、支援に乗り出す

 新型コロナウイルスの感染拡大に関し、瀬戸内町商工会(政岡博重会長、加盟310社)が4月中に実施した町内事業所への緊急アンケートで、6割を超える店舗や法人が「このままでは3カ月以内に経営危機に陥りそう」と答えたことが分かった。そのうち「1カ月以内」に含みを持たせる回答は2割強に上っており、地元事業所の深刻な受け止めがあらためて浮き彫りに。一刻も早い支援を求める声に応え、地元行政も対策に乗り出した。

 アンケートは4月11~19日の9日間に実施。会員企業など約300社以上に依頼し、90事業所(68個人事業主、22法人)が回答した。業種は飲食や小売、宿泊などサービス業が半数以上。また規模は、従業員数1~3人の個人・小規模事業所が8割となった。

 同商工会青年部のまとめによると、今年3月の売り上げについて6割の事業所が「前年比割れ」とし、そのうち1割が「売り上げゼロ」と回答。4月についてはほぼすべての事業者が「前年比割れ」との見方を示していた。

 さらに新型コロナの影響が今後いつまで続くと経営危機になるか―との質問に67・1%の事業者が「3カ月以内」。そのうち24・7%の事業者が「1カ月以内」と危機感を募らせている一方、感染予防のため半数が休業(もしくは休業予定)せざるを得ない状況を明かしている。

 寄せられた意見には、先が見えない将来に不安を募らせる内容も多く、「3~5月の予約がすべてキャンセル。破綻します」「固定費の家賃の支払いが苦しい」「長引くと、特産品のパッションフルーツなどの販売にも影響しそう」―との訴えが並び、行政支援を求める意見も少なくない。

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 そうした地元の窮状に応えようと同町はこのほど、独自の緊急支援対策を発表した。

 新型コロナによる自粛要請の影響で売り上げが落ち込んだ商店舗に、支援金として一律10万円を支給する「飲食業・観光業など緊急支援金事業」を盛り込んだ補正予算が議会臨時会で成立。財源はふるさと応援基金(ふるさと納税)から300件分の3千万円を捻出した。

 今年3・4月のいずれかの売り上げが前年同時期比で30%以上ダウンした商工会会員などの店舗が対象。商工会を窓口に受け付けを開始しており、町側は「仕入れ、家賃など目的や用途は問わない」(同町企画課)としている。鎌田愛人町長は議会で「今後も地元に対する支援を適切に実施したい」と強調した。

 同商工会は臨時会の直前、町側に救済措置を要望していた。政岡会長は今回の対応に謝意を示し、「多くの事業所は経営が大変厳しい。今後も店が持続していけるよう、いまは準備を整える期間と考えたい」と語った。

 売り上げ低迷の主な理由は、飲食業や宿泊業を中心に「来客数の減少」が最多。「急場をしのげる現金はありがたい」とする事業所からの意見がある一方、新型コロナ感染拡大の終息が見えないことに不安を募らせている経営者は少なくない。

 小売店を経営する女性(38)は「家賃、回転資金、従業員の雇用維持の面で、多少の現金では全く足りない」と吐露。その上で、「なにより先行きが見通せない心理的な不安が一番つらい。長引くほど、経営困難になる」。

 また男性飲食店主(40代)は「いまの営業はテイクアウト(持ち帰り)中心。ありがたいことに連日常連が来てくれるが、実質的な売り上げはダウン。このまま続けばいずれ…」と苦しい胸の内を明かした。