連日計4班8人が昼夜2回行っている自然保護パトロール=4日夜、徳之島町内
ロードキル(交通死)防止を呼び掛ける看板の手作り設置も(提供写真)
【徳之島】徳之島自然保護協議会(美延治郷会長、会員15人)は今月1―10日まで、世界自然遺産登録推薦エリアをはじめ奄美群島国立公園指定地区の自然保護パトロールを特別強化している。日本甲虫学会も新型コロナウイルスの離島への感染拡大防止のため、調査研究・観察活動など目的の「渡島自粛」を緊急アピール中。希少動植物の盗掘・盗採防止のみならず、地元側の観察活動に伴う弊害の防止も訴えている。
徳之島3町など委託の定期的な夜間パトロール活動とは別に、昼夜2回、島「北部」と「中南部」に分けて連日会員計8人が担当。希少動植物分布エリアの林道などに不審な車両・人がいないか目を光らせている。
日本甲虫学会も、新型コロナ拡大防止対策の観点から「長距離移動を伴う調査研究・観察活動、特に離島への渡島自粛」をホームページを通じ要請。特に「コミュニティが狭くね医療体制が脆(ぜい)弱な上に高齢者も多い離島では、新型コロナウイルスの侵入によって瞬時に爆発的感染が引き起こされる」など指摘。
さらには、一般SNS上では「ライバルの少ない今年が〇〇島採集の狙い目」や「ゴールデンウイークの採集でも今年の〇〇島は安上がり」など不謹慎な書き込みの存在を懸念。徳之島自然保護協の特別パト実行のきっかけにもなった。
同自然保護協の美延会長(63)によると、パトロール時点での不審な入山者の確認はない(5日夕現在)。しかし徳之島町手々地区では、巡視時間帯からずれた深夜、不審なレンタカーの姿が2日連続監視カメラに記録されていた。
一方、天城町当部の「アマミノクロウサギ観察小屋」に通ずる道路上では1日朝、交通事故死とみられるクロウサギ成獣1匹の死骸が見つかった。同観察小屋周辺では連夜、島内の家族連れなど観察客が押しかけている。同協議会員たちは2日、大型の看板2枚を作成して現場沿いなどに設置。「多くの人が自然に興味を持ってくれることは好ましいが、交通事故には注意を。島の宝を一丸となって守り後世へ」(同会長)と話した。