引退するタワ号(左)とユウキ号(右)(提供写真)
一般財団法人自然環境研究センターの奄美マングースバスターズとともに、マングース捕獲に活躍した探索犬2頭が体力の衰えなどから引退することになり、4月28日に大和村の環境省奄美野生生物保護センターでセレモニーが行われた。引退したのは、生きたマングースの臭いを探知し追尾する「生体探索犬」のタワ号(12歳、オス)と、マングースの糞の臭いを探知する「糞探索犬」のユウキ号(8歳、オス)。引退後はマングースバスターズで2頭それぞれのハンドラー(訓練士)である後藤義仁さん、白石聡さんに引き取られ奄美大島で余生を過ごすという。
野生生物保護センターなどによると、マングース防除事業は2000年度からスタート、05年からはマングースバスターズによる捕獲が開始され、探索犬は08年に生体探索犬を導入、15年からは糞探索犬が新たに加わった。
タワ号は08年に初めて導入された生体探索犬のうちの1頭で、これまでに23匹のマングース捕獲に貢献した。ユウキ号は15年に初めて導入された糞探索犬。個体数の減少に伴い、発見が難しくなったマングースの捕獲、根絶に欠かせない存在として活躍、これまでに22個の糞を探知するなど捕獲に貢献した。
引退セレモニーは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、少数の関係者のみで行った。
タワ号のハンドラーを務めた後藤さんは「初代探索犬としてこちらも手探り状態だった。時には厳しい訓練もあったと思うが、一緒に経験を積むことができた。残りの余生をのんびりと自由に生きてほしい」と話し、ユウキ号のハンドラーの白石さんは「元気なうちに引退させることができてよかった。シェパードは訓練が大変だったが、みんなに支えてもらい続けることができた」などと思い出を語った。
野生生物保護センターによると、これまでに捕獲したマングースは計3万2647匹に上る。これまでの捕獲数の推移をみると、開始当初の00年度に最多の3884頭を捕獲、マングースバスターズによる捕獲開始以降、年間の捕獲数は順調に減少、14年度には年間捕獲数が100頭を下回り、17年度には10頭まで減少。18年4月以降、約2年間捕獲がない状況が続いているという。