奄美市、永田墓地利用計画

無縁墓地などが増え、再整備の必要性が高まっている永田墓地

今夏に審議委設置し検討開始へ
無縁墓388基、返還届けも約300件

 奄美市は、同市井根町の市有墓地「永田墓地」の管理や墓地利用の在り方などを協議する「永田墓地利用計画審議委員会」(仮称)を今夏にも設置し、墓地の利用計画や管理方法などをまとめた整備方針を示すことにしている。永田墓地には現在、市有地に約2200基の墓があるが、5年以上墓参りをした形跡がなく、縁故者が分からない「無縁墳墓」が388基に上るほか、墓地を返還するケースも増えている。同審議委員会で空き区画となった墓地の利用方法や引き取り先のない遺骨の取り扱いなどについて検討する。

 市環境対策課によると、永田墓地では1982年以降、墓地台帳が更新されていなかったことから、代替わりや縁故者の島外移住などによって利用者が分からなくなるケースが増加した。利用者が不明な墓には、登録申請を呼びかける立て札を設置、5年間届け出がなかった墓は「無縁墳墓」として官報に掲載。さらに4年以内に申し出がなかった場合「無縁改葬公告済」の区画として処理。これまでに同公告済となった墓は16年度~18年度で計388基に上る。

 一方で、人口減少や民間による墓地造成などによって新たな墓が整備されたこともあり、市に墓地返還届けを提出する人も増えてきたという。これまでに返還届けが出されたケースは約300件にのぼり、実際に墓参りがされているのは、全体の約7割にあたる1500基ほどとなっている。

 こうしたことから市は、永田墓地全体としての適正利用を図る必要があるとし、2012年に墓地対策室を設置し、利用状況の把握や継承、返還手続きなどを進めてきた。

 3月末までに全体の約86%に当たる約1900基について、使用者の確認など墓地台帳の記載を終えており、全体的な使用状況確認のめどが立ったことから、同審議委を設置する方針を固めた。

 審議委員には、町内会や女性団体、青年団などの市民代表のほか、葬儀関連団体、市議ら約10人で構成する予定で、今後、人選などを進める。同対策室は「7月ごろには審議をスタートさせ、今年度中には利用計画を策定したい」としており、無縁墳墓に埋葬されている遺骨の取り扱いや改葬後の区画の整備方法、市民への墓地提供の在り方などについて検討する。