県高野連が代替大会発表

地区大会、決勝トーナメント方式で

 【鹿児島】鹿児島県高校野球連盟は5日、臨時の役員・常任理事会を開いた。中止となった第102回全国高校野球選手権鹿児島県大会の代替大会として、2020鹿児島県夏季高校野球大会を6月下旬から7月にかけて、地区大会、決勝トーナメント方式で実施すると発表した。

 硬式に関しては6月下旬から7月中旬にかけて鹿児島市、南薩、北薩、姶良・伊佐、大隅、熊毛、大島の各7地区で予選を実施する。地区予選を勝ち上がった16チームで7月22―28日の7日間(2日間休養日)、鹿児島市の平和リース、鴨池市民、両球場で決勝トーナメントを実施する。各地区からのトーナメント出場校配分など詳細は後日発表する。

 抽選会は6月27日、理事による代理抽選を行う。新型コロナウイルス感染拡大防止策に万全を尽くすため、開閉会式は行わず原則無観客試合。ただし、保護者や控え部員の応援は認める。
 軟式に関しては7月17―20日(休養日1日)の4日間、鴨池市民球場でトーナメント戦を実施する。抽選会は硬式と同日に行う。

 県高野連では代替大会として様々な方式が検討された。通常の県大会同様に近いトーナメントを要望する声も多かったが、感染が完全な終息に至っていないこと、練習が不十分で熱中症対策などが万全でないことなどを考慮して、このような方式が採用された。中森俊朗理事長は「これから7月28日の決勝戦が終わるまで感染防止対策を徹底し、安心・安全に試合が終わるために全力を尽くしたい。その上で3年生がしっかりと高校野球に区切りをつけて次の目標に向かっていって欲しい」と話した。

(政純一郎)

 

最後の夏「信じて待った」

高野連の速報を受け、部員を前に発破をかける塗木監督(左手前)

大島、代替開催決定に歓喜

 県大会の代替開催決定の一報に、奄美市名瀬の大島高校野球部(塗木哲哉監督、部員60人)でも歓喜の声が広がった。全国高校野球選手権鹿児島大会の中止決定後も手を緩めることなく代替開催を信じて練習に励んできた部員たち。塗木監督は「最後があるのとないのでは大きく違う。まずは尽力いただいた関係者に感謝を申し上げたい」と安堵の表情で話した。

 昨年の全国高校野球選手権鹿児島大会ではベスト8に食い込んだ大島。3年生が引退後の新チームで臨んだ昨秋の九州地区高校野球大会県予選でも8強入りを果たすなど、〝力のある世代〟として今年も大きな期待が寄せられていた。

 午後4時、県高野連の速報が伝えられると、塗木監督が部員を集めて代替大会の開催決定を報告。「ありがたいという気持ちを忘れず地区予選を勝ち抜き、県立鴨池球場で野球ができるよう目標を切り替えて頑張ろう」と部員を前に発破をかけた。

 進学校にも関わらず、一人も離脱することなく最後の夏を信じて、普段と変わらぬ〝量より質〟の練習を続けてきた3年生22人(選手18人、マネージャー4人)を含む部員たち。3年・藤本涼也主将は「中止を聞いた時は悔しく複雑な気持ちだったが、(開催を)信じて待った。最後まで勝ちにこだわり、これまで頑張ってきた仲間と一緒に全力で挑みたい」と前を向き、3年・川畑妃羅莉マネージャーも「大会の最後まで、しっかり支えたい」と気を引き締めた。

 戦いに向けての課題はやはり〝実戦感〟。塗木監督は「試合で起きるプレーや連携を想定しながら、しっかり準備を整えたい」と抱負。部訓の「エンジョイング・ザ・ベースボール」を胸に、最後の覇を目指す。