オンライン使い〝卒後教育〟

オンライン研修の様子を紹介する平城修吾さん

平城さん 離島の「地理的な制約」超えて
幅広い活用呼び掛け

 離島に暮らす中での問題の一つとして、都市部で開かれる勉強会や講演会への参加にかかる経済的、時間的な負担が多いことがあげられる。名瀬在住の平城修吾さん(32)は、それによる「学習機会の不足」や「学習意欲の低下」を感じ、3年前からオンラインを使った研修会や講演会を始めた。現在は本職の作業療法士(以下OT)の傍ら、オンライン関連の講師としても活動している。

 「家族がけがをしたときに、島内の病院の技術では治療が難しい現状を目の当たりにした」という平城さんは、3年前から県作業療法士協会(以下県OT協)でオンラインを使った研修会の開催を始めた。

 平城さんが2020年の3月~5月に連載を担当した「作業療法ジャーナル」の論文によると、「県OT協が行った離島OTを対象とした調査によると、過去1年間の間に島外で行われた研修への参加回数が0回だったと回答した人は70%を超えた」という。その理由として「移動に伴う金銭的、時間的な負担が大きいことと、職場の人手不足で休みが取りづらい」などがあげられた。なかには「自己研さんをするほど金銭的に苦しくなり自暴自棄になった」との声もあったという。

 平城さんは18年、神奈川県にある湘南OT交流会の研修に参加した。その際にオンライン研修の担当役員としての誘いを受け、19年4月に全国20か所をつなぐ大規模な研修会(参加者100人以上)のウェブ関連の担当を任された。各都道府県の会場に数十人が集まり同時に講義を受け、会場内でディスカッションを行うことでさらに知識が深まるという。

 現在は新型コロナウイルスの影響で集まることはできないが、オンライン研修会の需要が高まり、認知度が上がってきている。

 平城さんは、「OTに限らず、島内での教育(卒後教育や有名講師の講座など)にはオンラインの利用が有効。利用者の苦手意識を払しょく出来たら。『島だからできない』をなくしていきたい」と目標を語った。

 現在平城さんは医療法人碩済会・大島保養院で作業療法士として勤務する傍ら、県OT協南薩支部奄美地区の議員、湘南OT交流会の実行委員担当、ユーチューブでオンライン会議の主催方法などの解説(チャンネル名:みすたーがっぱいの作業がいっぱい)や講師業など、多岐にわたり活動している。問い合わせはメール(amami.ot.63617@gmail.com)まで。