経済か感染対策か

「GoToキャンペーン」利用を呼び掛けている旅行代理店サイト

GoToキャンペーン 「対策徹底図り、お迎え」
奄美の自治体・「レベル3」堅持し、受け入れ

 新型コロナウイルスの感染拡大で大きな打撃を受けた経済活動の回復と、地域の再活性化を図る国の支援事業「GoToキャンペーン」が7月22月から始まる。旅行の最大半額補助などが目玉。低迷する観光業の回復に期待がかかる一方、東京を中心にコロナ感染者数の増加傾向から観光分野での実施に奄美でも賛否の声が出ている。

 同キャンペーンは観光・運輸業や飲食業、イベント業などで実施され、総予算は約1兆7千億円を計上。注目されるのは旅行費用の最大半額を補助する「トラベル」キャンペーン(予算2千億円)。移動規制の全面解除後、国内の旅行需要喚起につなげる狙いがある。

 キャンペーンのトラベル関連事業を所管する観光庁によると、一社・日本旅行業協会が業務受託。事務局を立ち上げ、補助申請書やクーポンなどの発行を扱う。8月実施としていたが「海の日」を含む4連休前日の今月22日開始に前倒しした。

 奄美の宿泊事業者はキャンペーンについて経済復興の起爆剤と見る。実施1週間を前に、奄美市内のリゾート系ホテル関係者は期待感を隠せない。

 緊急事態宣言による移動自粛で売り上げ減のダメージは想像以上に大きく、「観光産業は外需頼み。感染リスクと生業=なりわい=を両天秤にかけた場合、いまは生業を重視したい」「本業を早く軌道に乗せないと経営危機になる。本格的に観光客を受け入れ、売り上げにつなげたい」などと好意的にとらえる。

 同市名瀬のホテルビッグマリン奄美の向井純一代表取締役社長(43)は「これまでと同様、施設内の感染対策の徹底を図り、来島客をお迎えしたい」と話した。

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 一方、最近の首都圏や鹿児島市内でのクラスター(感染者集団)発生による感染拡大や豪雨災害の状況から観光キャンペーンに行政機関や観光団体も対応を決めかねている。SNS上ではこのタイミングでの実施に否定的な意見も相次ぐ。

 県は現在、県民対象の宿泊割引キャンペーン「ディスカバー」は県内の感染者増加を受け21日まで休止中。国のキャンペーン実施について態度は示さなかったが、県観光課は22日以降の見通しに「県内の感染状況を把握しながら検討したい」と述べるにとどめ、感染拡大となっている段階で観光支援の実施は難しいとの見方だ。

 一般社団法人・あまみ大島観光物産連盟の境田清一郎事務局長は「国からキャンペーン概要はまだ示されておらず、内容を精査して適正な対応につとめたい」と語った。

 奄美大島島内の自治体は策定したコロナ警戒の現状(レベル3=防止対策の徹底)を堅持しながら、国のキャンペーン実施を受け止めていく姿勢。奄美市紬観光課は「最大限の感染対策を維持し、入込に対応することが求められる」として、島内で感染者が出ていない状況からキャンペーンを静観視する意向を示した。