阿権小でお別れ会 シンボル樹「ゆろうぬ木」

阿権小の歴史を見守ったシンボルツリー「ゆろうぬ木」(リュウキュウマツ)との別れを惜しんだ在校生や校区民=16日、伊仙町

「思い出をありがとう」
樹勢の回復見込めず伐採へ

 【徳之島】伊仙町立阿権小学校(岩元博美校長、児童数20人)で16日、約94年間にわたって歴代の児童らに寄り添って学校の歴史を見守ってきたリュウキュウマツ「ゆろうぬ木」とのお別れ会があった。樹勢の回復が見込めず安全優先のため伐採されることになり、校区住民たちも交えシンボルツリーとの別れを惜しみ、思い出も刻み合った。

 同校によると、リュウキュウマツは1926(大正15・昭和元)年に植樹され樹齢94年、高さ約10㍍、幹周り約2・5㍍。第二次世界大戦や奄美群島の祖国分離・復帰、新校舎落成(60年)、学校創立100周年(2000年)など歴史とともに、何世代にもわたって学校と児童たちを見守ってきた。00年には町の「名木」にも指定された。

 しかし、数年前から樹勢が衰えが始まり、樹木医の治療も受けたが「回復の見込みがない」の診断。安全第一の観点から「伐採やむなし」の結論にいたった。

 体育館であったお別れ会には校区民も含め約40人が参加。岩元校長が経緯を説明し「お別れするのはとても寂しい。思い出を話して送って欲しい」とあいさつ。児童を代表して中(あたり)幸也君(6年生)は木かげで休憩したことなどふり返り「切られることはとても悲しいが、思い出は忘れない」。竹添里彩さん(同)は「島っ子ガイド」活動のスポットとして観光客と写真を撮った思い出。實愛佳さん(同)はリュウキュウコノハズクの営巣や友だちとの休憩、枝にボールが引っ掛かったことなど思い出を振り返り、それぞれ感謝を述べた。

 同校卒業生で保護者でもある中隆喜さん(48)と阿権集落区長の重松信雄さん(75)が、幼少期にその緑陰でビー玉遊びやかくれんぼに興じたことや、卒業生1千人余の心に刻まれた思い出を紹介。参加者全員で伝統歌曲「阿権青年団歌」など踊りの輪を広げて思い出を刻みあった。