「GoToキャンペーン」の東京除外に奄美の事業者は戸惑いを見せている(写真はイメージ)
国は17日、「GoToトラベルキャンペーン」の対象から東京都を除外することを正式に発表した。キャンペーンは新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済活動の回復を後押しする狙いだが、都内の感染者急増を受け、一転「東京外し」に。関東方面からの入込が地域観光を支える奄美にとってもこの突然の方針転換は少なからず影響が出そうだ。
国は22日から支援事業「GoToキャンペーン」をスタートさせる。国内の旅行需要喚起につなげる「トラベル」関連事業は旅行費用の最大半額を補助。シーズンを前に、売り上げが低迷する観光産業へのテコ入れが期待される。
観光事業者はこの支援事業に期待感を示す一方で、7月に入ると各地で感染者が急増。特に東京都内ではクラスター(感染者集団)が発生するなど、全国の感染者数は1日当たり200~400人で推移する中、キャンペーン実施の是非を巡る声が全国で挙がっている。
経済活動と感染対策の両立――。都道府県の知事からも批判的な意見が相次いでいた矢先、国は今回の東京外し方針を発表した。トラベル関連事業を所管する観光庁によると、東京都の除外とは、▽東京都を目的地とした旅行▽東京都在住者の旅行―の2点。若者や高齢者の団体旅行の除外も検討していくという。
ただ業務受託する事務局は立ち上がったばかりで、補助申請書やクーポンなどの発行業務は未整備。同庁担当者は奄美新聞の取材に対し、「いまのところ事業全体が準備段階としか言えない。東京除外の急きょ決定で事業見直しも必要となった」と答え、キャンペーンが周知先行の状況を否定しなかった。
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首都圏との航空直行便が就航する奄美大島の入客数は年間約10万人に上る。格安航空会社(LCC)の就航も後押しし、関東方面の観光客数は増加傾向。新型コロナによる売り上げ低迷を打開しようと、奄美大島島内の旅行代理店やホテル事業者は今回のキャンペーンに期待を寄せていたが、国の施策が定まらないことに戸惑いを見せている。
大手旅行代理店からキャンペーンを活用した予約依頼を受けた奄美市内のホテル関係者は「料金割引のシステムを理解できていない。いまのところ宿泊希望者から直接の問い合わせはないが、説明対応できるかどうか…」と不安を口にした。
また都内の感染者急増に危機感を持つ経営者は「支援には感謝しているが、無症状者の来島リスクや東京以外のルートも正直不安。キャンペーン自体を反対したい」と厳しい表情を見せた。
奄美市名瀬の奄美航空ツーリストによるとキャンペーンの問い合わせは増えているものの「国の方針が固まり次第、利用説明を行っていく」(同社営業推進室)。
同市笠利町のリゾートホテル「コーラルパームス」の村山博和総支配人は「いまのところ(キャンペーン変更による)影響は出ていない。スタッフのマスク着用や室内除菌など感染対策を十分講じて受け入れたい」と話し、利用客の半数は東京を含む関東圏が占めるため今後の動向を注視してく考えだ。