平松町の街路樹を伐採

伐採された平松町の歩道の街路樹。幹の根元部分が残った伐採跡

住民から驚きと怒りの声
市土木課「伐採計画はなかった」
奄美市名瀬

 20日午後、奄美市名瀬平松町の市道の歩道一帯(延長200㍍以上の両側)の植樹帯に植えられていた街路樹が多数伐採され、木の根元の幹部分が残っているのに住民が気づいた。市道の「平松2号線歩道整備事業」(2020年度~21年度の2カ年計画)発注者の市土木課によると、当日は、植樹帯の木の枝を切り落とす「枝打ち」と、下草払い作業を市開発公社側へ委託する計画だったが、市開発公社職員が「木の幹を伐採する作業をしてしまった」という。市土木課は「木の伐採の計画はなかった。市土木課の担当職員と、市開発公社職員との間で『相互に作業内容の確認ができていなかった』ことが原因」と説明した。住民の中には「驚いた。怒りを覚える」と話す人もいた。

 市土木課によると、「平松2号線歩道整備事業」の区間延長は約550㍍。全体区間は、小宿集落近くの平松公園―小宿郵便局―海側の県営ハイツ浜里団地(1号棟、6号棟の間)に至る市道。両側の歩道が傾斜していることから、傾斜解消が事業の目的。車道側の歩道が高く、住宅側の側溝までの歩道が低く、傾斜している。「側溝側の歩道の高さに合わせる設計を検討中。歩道を平たんにする計画」「歩道に傾斜があれば、歩きづらい。特に高齢者、ベビーカーや車いす利用者も不便。歩道の安全性を高め、バリアフリー化を図る目的がある」(市土木課)。

 20年度中に測量・設計を終えて、歩道の傾斜解消工事に着手し、21年度で完工見込み。

 歩道の区域内には、多数の植樹帯があり、その中に高さ4~5㍍前後の木や、花が植栽されていた。

 伐採問題が発生した区間は、小宿郵便局―県営ハイツ浜里団地(1号棟、6号棟の間)に至る市道の両側の歩道。歩道区域内の植樹帯には、大きめな木の伐採跡が18カ所、小さめな木の伐採跡が38カ所以上残っている。

 市開発公社によると、20日の作業には、職員7人が参加し、午前8時半ごろから午後4時ごろまで作業した。

 市土木課は「事前に土木課職員と開発公社職員が立ち会った。しかし、(作業内容について)相互に確認ができていなかった」と問題発生の原因を説明。「木が大きくなり、車のドライバーから歩道の人が見えにくいとの指摘もあった。枝打ち(枝を切り落とす)作業の予定はあったが、伐採の指示はしていない」とした。

 20日午後、街路樹の伐採に気づいた70歳代の住民は「長い年月をかけ育った街路樹を(根本部分を残して)伐採するとは、信じられなかった。驚き、怒りが込み上げてきた」「知人の女性もびっくりしていた。街路樹が残っている(半分の区間)の木の伐採を懸念していた」と話した。

 平松町自治会の日置洋和会長は「歩道の傾斜解消工事の話は聞いていた。それは良い事だと考えていた。しかし、住民からの知らせを受けて街路樹の伐採現場を見て驚いた」と話した。