長崎は9日、第二次世界大戦で原爆が投下されてから75年目の「原爆の日」を迎える。厚生労働省によると、被爆者健康手帳を持つ全国の被爆者は、2019年度末現在で13万6682人となり、18年度末に比べ9162人減った。平均年齢は83・31歳だった。県健康増進課がまとめた県内の被爆者健康手帳所有者は、19年度末現在504人(前年度比83人減)で、平均年齢は全国平均より2歳以上高い85・4歳となっている。被爆者数は高齢化により、年を追うごとに減少している。
厚生労働省のまとめでは、都道府県別で被爆者が最も多いのは広島の6万1795人(うち広島市4万4836人)で、次いで長崎3万5597人(うち長崎市2万5726人)、福岡5514人と続いた。
国の被爆者救護法により定められる「被爆者」は、▽原爆が投下された両市で直接被爆した人▽投下後2週間以内に救護・医療・親族探しなどで爆心地約2㌔以内に立ち入った人▽放射線の影響を受けるような事情のもと被災者の救護や遺体処理などを行った人▽以上3項目の該当者の胎児だった人―と定義している。
7月29日、広島への原爆投下直後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を浴びたのに国の援護対象外とされた地域の84人が、広島県と広島市に被爆者健康手帳などの交付却下処分の取り消しなどを求めている「黒い雨」訴訟で、広島地裁は原告全員に被爆者健康手帳を交付するよう命じるなど、原告の請求を認める判決を出した。国は、判決について、控訴するかどうかの判断は示していない。
県は17年度以降、被爆者健康手帳保持者数の地区別・市町村別の人数は明らかにしていないが、奄美群島全体では16年度末で94人と100人を割り込んでおり、減少が進んでいるとみられる。
戦争中、奄美からも特産品の大島紬を織っていた10代後半~20代前半の女性たちが、手先の器用さを見込まれ、「大島女子挺身隊」などとして長崎市の工場などに動員され、被爆した人も多い。
奄美市は原爆が投下された9日午前11時2分、防災行政無線でサイレンを鳴らし、市民に犠牲者への黙とうを呼び掛ける。