外来種「ホテイアオイ」駆除

森林域の養鰻場跡に侵入、大繁殖していた外来種「ホテイアオイ」駆除のボランティア作業に汗を流す参加者たち=14日、伊仙町糸木名

徳之島 建設業・自然保護団体・行政が連動

 【徳之島】徳之島南部の犬田布岳山麓の伊仙町糸木名地区の森林地帯で18日、奄美建設業協会の徳之島地区会員8社や自然保護団体、町関係者ら約55人が参加して「清掃会」を展開。養鰻場跡の水面を覆い尽くし、2㌧トラック12台分にも及んだ外来種水草「ホテイアオイ」の駆除と、長年放置されてきた不法投棄物回収のボランティア作業に汗を流した。

 現場は、糸木名地区の県道から「上成(うわなる)川」(県2級河川)に沿うように進んだ犬田布岳エリア(奄美群島国立公園第1種特別地域、世界自然遺産登録推薦地)に隣接した地域。緩衝林的な重要な地域でありながら一部では過去の不法投棄ゴミ類の存在が指摘されていた。

 さらには「上成川」上支流沿いの養鰻場跡の池(長さ約50㍍×幅約30㍍)には、国際自然保護連合(IUCN)指定の「世界の侵略的外来種ワースト100」の1つで、日本の外来生物法で「要注意外来生物」に指定されている水草ホテイアオイが侵入。立錐の余地もないほどに大繁殖して水面を覆い尽くしてた。自然保護団体は、河川への流出拡散も懸念していた。

 「清掃会」ボランティア作業に協力したのは奄美建設業協会徳之島地区(芝博次理事・8社)、NPO法人徳之島虹の会(政武文理事長)、徳之島自然保護協議会(美延治郷会長)の各会員に町当局含む約55人。同建設業協会側が毎年恒例の地域貢献活動の対象地を虹の会に打診したことで官民一体の取り組みへと発展した。

 猛暑下の養鰻場跡では、泥沼に足を取られて体力を奪われるなど悪戦苦闘。身の丈近くに伸び詰まったホテイアオイの群落の抜き取り作業に汗だくで格闘。人海戦術で株の一掃にも努め、監視を続けていくことに。一方、林道沿いや森林内では、数10年以上を経ていると思われる鉄パイプやガードレール、工事廃材などの産業廃棄物、冷蔵庫や洗濯機など廃家電、生活の一般廃棄物などを収集。その総量は軽トラック約45台分相当。建設業関係者らは重機やトラック持ち込みで機動力を発揮した。

 奄美建設業協会の芝理事(69)は「世界自然遺産登録に向けては外来種対策も重要。建設業界は開発が中心だったが、島の大切な自然を守るため今後も連携協力していきたい」。虹の会の政理事長(67)は「自然遺産登録は止まっているが、外来種対策はIUCNの指摘事項。島の自然環境を守るためには、水草関係にも気を配り地道に駆除していくことが肝要。関係機関・団体が意識して作業に参加したことに感謝します」と話していた。