熱帯果樹「レンブ」豊作

奄美市で収穫された「レンブ」。トロピカルフルーツの珍しさとおしさが評判となっている

 

知人らに配布、珍しさから評判に
奄美市の造園業者

 

 一般的にあまり知られておらず、「珍しいトロピカルフルーツ」とされている「レンブ」。今夏、奄美市の造園業者が所有する樹木で着果した果実が豊作となり、収穫したものを知人らに配布したところ珍しさだけでなく、おいしさも評判で、“レンブファン”が広がりつつある。

 レンブの樹木を所有するのは、奄美市名瀬平松町の㈲中山造園。名瀬地区に3本、笠利地区に2本あり、樹高は約10㍍もある。

 代表の中山圭一さん(69)によると、奄美市で小児科を開業していた台湾出身の医師から30年ほど前、「母国では味わうことができたレンブを食べたいが、奄美では手に入らない。なんとかならないか」との相談を受けたのがきっかけ。中山さんは地理的に近いこともあり、台湾からさまざまな熱帯果樹を取り寄せている沖縄県の同業者に連絡、存在を確認し5本入手した。

 直径3㌢、高さ2・5㍍だった木を植栽。「風が強い所は不向き。防風対策に注意するくらいでほとんど自然の状態で育った。肥料も飼っているヤギのふんの活用くらい」と中山さん。常緑の熱帯果樹は春から初夏にかけて白い花が咲き、開花後の果実の収穫期は7月中旬から8月下旬にかけて。中山さんは「今年は直径3~5㌢の果実がたくさん実り、あまりの多さに折れるのではないかと思えるような枝もある。昨年、一昨年に強せん定したのが豊作につながったのではないか」と語る。

 たくさん実った果実を知り合いらに配ったところ口伝えで評判に。「50~60人以上にあげただろうか。珍しい熱帯果樹をたくさんの人に食べてほしいとの思いから。みんな喜んでくれる。来年も豊作なら地元市場に出荷することも考えたい」(中山さん)。樹高の関係で脚立などを使って収穫しており、中山さんは「収穫時の果実はモモのような状態。傷をつけることがないよう手袋をして丁寧に扱っている」と話す。

 レンブはフトモモ科フトモモ属で、マレー半島などが原産地。「生果として食べる場合には、塩水か砂糖水に浸けてから食べる方がおいしい」とされ、サクサク感とみずみずしさからサラダ(ポテトサラダにリンゴを入れる感覚で調理など)として好まれている。中山さんの収穫により初めて味わったという人からは「冷蔵庫で冷やしてから味わった。包丁を入れると、ふわっとしたさわやかな香りが漂った。食感もしゃりっとしているが、ナシよりも控えめでさっぱりしている」などの感想が寄せられた。