台風通過に「恵みの雨」

長引いた梅雨の影響で順調な生育を見せる笠利町のサトウキビ畑

笠利町など、キビ生育順調
生産農家ら「このままいってほしい」

 奄美地方北部で26日、台風8号通過に伴い大気が不安定となった影響で大雨に見舞われた。例年、奄美大島の基幹農作物サトウキビは梅雨明け以降、少雨傾向が続き干ばつにも悩まされる時期だが、奄美市・龍郷町などではこれまでのところ生育は順調。同市笠利町の生産農家や製糖関係者らからは「恵みの雨だ」などの声も上がっている。

 大島本島さとうきび生産対策本部の、今期の夏植え目標面積は117㌶。奄美市は97㌶、龍郷町では9㌶を掲げている。

 気象庁によると、7月の降水量は名瀬で328・0㍉と、平年に比べると62・0%増えた。長引いた梅雨の影響で成長を促す雨量は十分確保できており、富国製糖の勢幸一事業所長は「茎数はやや短いが、茎長の伸びでカバーできる範ちゅう。ここまでは順調に生育している」と話す。

 奄美市笠利総合支所地域農政課によると、一部で土壌のクラック(ひび割れ)などは確認しているが、目立ったロール現象や枯れ上がりなどの影響はなく、今期は計画通りの生産量を見込む。

 同課は、「(今後も)スプリンクラーの活用を呼び掛けながら、推移を見守っていきたい」と述べ、「干ばつなどの兆候が見られるようであれば、対策本部を立ち上げるなど対応していきたい」と話した。

 笠利町の生産農家男性(72)は「ここのところ日照りが続いていたが、ぎりぎりのところでいい雨が降った」と久しぶりのまとまった雨を歓迎。「今年は台風も少なく大きな被害はない。このままいってほしい」と話した。

 一方、奄美地方は秋にかけても台風が多発する時期。同課・川畑健朗糖業推進室長は「むしろ心配なのは台風で、(卵の)発生も目立つ。(生産者は)気象情報に注意しながら、ほ場の安定に務めてほしい」と呼び掛けている。