輸送コスト支援事業19年度実績

原材料、加工品も支援対象に
バレイショは3万7217㌧

 奄美群島振興交付金を活用した農林水産物等輸送コスト支援事業は、2019年度から対象品目の生産に必要な資材などの原材料の移入、加工品の出荷も支援対象に追加された。19年度実績をみると、農産物では輸送野菜の主力となっているバレイショ等が3万7217㌧(原材料含む)となり、加工品では黒糖焼酎の出荷で支援事業が活用されている。

 群島で生産された農林水産物および加工品の、群島外への出荷・群島外へ出荷する農林水産物にかかわる原材料等を移入する際の海上・航空輸送費の一部を助成するもの。実施主体は市町村で、出荷団体(農協、漁協、森林組合、農林漁業者で組織する団体等)が補助対象者。

 群島で生産され、群島外へ出荷される農林水産物のうち、輸送コストを支援することで販路拡大、生産拡大が期待できる農林水産物(55品目)が補助対象品目。19年度から追加された原材料(1市町村3品目まで)は配合飼料、段ボール、種子、化成肥料が対象品目。加工品(1市町村5品目まで)は黒糖焼酎、粗糖、飲料水、産業機械、電気機械、乾燥あざみを対象としている。なお、宅配便(ゆうパック含む)による輸送は、県内のあらゆる地域(離島を含む)から県内外に出荷しても料金が一律のため補助対象外。

 国土交通省がまとめた同事業の19年度実績をみると、農産物でバレイショ以外では、切り花などの花き41万5904梱包(原材料含む)。林産物ではスダジイなど奄美産材1203立方㍍、木材チップ4452㌧、キクラゲ2万4545㌔㌘。水産物はマグロ類、クルマエビなど2912㌧(原材料含む)。新たに支援対象となった加工品は黒糖焼酎が257万8914㍑、粗糖1084㌧など。

 このほか交付金を活用した事業では、農業創出緊急支援事業がある。19年度実績では新たにスマート農業を展開。鉄骨平張ハウス用の自走式薬剤散布機やドローンを活用した薬剤散布の実証実験が行われた。同事業は、地域の関係機関が組織する園芸振興協議会などと連携し、IoTやAI等を活用したスマート農業の構築のための実証、普及を支援するもの。市町村(天城町、和泊町で実施)、市町村を含む協議会が実施主体。補助率は国10分の6、県10分の1、市町村等10分の3となっている。