回復キビ塩害懸念

台風14号のサトウキビ被害では塩害が懸念されている(奄美大島北部で)

台風14号、高波と強風で
奄美大島北部

 台風14号は、強い台風にまで発達したものの、進路を北に変えたことで奄美地方は暴風域に入らなかった。9月上旬の台風10号で基幹作物のサトウキビは倒伏や折損(一部)などの被害を受けたが、その後生育が回復してきた中での台風接近。進路に近い奄美大島北部の糖業関係者は、高波と強風による塩害を懸念している。

 奄美市笠利町にある大型製糖工場・富国製糖。今期の収穫面積は536㌶で、約2万2千㌧の搬入量を目指している。

 進路に近かった台風10号では、通過後の吹き返しによる強風で倒伏被害、さらに葉の裂傷が目立った。しかし、その後回復。本数は少ないものの葉の伸びは良好な状態に。富国製糖の10月1日の調査では、ブリックスの平均は13度となり、前年同期と同じだった。

 「10月に葉がやられると深刻。ブリックスなど収穫期の品質に影響する」という中で迎えた今回の台風14号の接近。富国製糖は「風速は現在のところ24~25㍍程度で当初の予想より強くなく、10号でみられた倒伏や葉の裂傷は出ていない。一方で雨が少ない。海上は大しけの所があるだけに、崎原や用、佐仁地区にかけては潮風による塩害が心配。降雨が不十分だと葉が黄色、さらに赤くなると回復が遅くなる」と指摘する。スプリンクラーが整備されているほ場は散水により改善できるが、未整備のほ場は散水できないだけに影響が出そう。

 なお、県農政課はサトウキビの台風対策として通過後は「新植夏植えでは、苗が流出したら補植する。また、埋没したら芽掘りを速やかに行う」を挙げている。