徳之島を皮切りに始まった塩田康一知事の県民との「ふれあい対話」=24日午前、天城町防災センター
【徳之島】塩田康一知事と県民の「ふれあい対話」が24日、県内トップを切って天城、徳之島両町で開かれた。両町会場とも各分野の住民代表ら15人(町推薦5人・公募10人)ずつが質問・要望。積年の課題の離島ハンディに加え、新型コロナウイルスの影響が追い打ちを掛けている農林水産・商工業、医療・福祉対策の格差是正などを要望。同島で幼少期を過ごした経験を持つ塩田知事は持論も交え、多くの項目に共感、県政の課題として検討していく方針を示した。25日午後は伊仙町で開く。
県民との「ふれあい対話」は、第20代県知事に就任し今月28日で3カ月となる同知事が掲げた「県民が安心できる行政づくり」の一環。その皮切りとして同日午前10時半から天城町防災センター、午後3時半からは徳之島町生涯学習センターで開催。住民15人ずつが対話に参加。それぞれ約百人が傍聴した。
塩田知事は天城町会場の冒頭、「県民の声を聴いて、県政にしっかりと反映させていくための第1日目。県は非常に多くの離島を抱えており、県として島の課題に取り組みたい。私も幼いころ伊仙町で3年間過ごした。暮らしは良くなったが、(台風被害など)変わってない点も。忌たんのないご意見を」などと呼びかけた。
両町会場の住民代表らの質問・要望は、農政関連では、基幹作物サトウキビの政府買い上げ価格アップによる「若者が夢を持てる農業政策」。観光振興や物流にも影響を及ぼしている高い航空運賃。コロナ禍における商工業や観光振興対策、闘牛文化維持への支援。施設関連では、港湾整備やICT(情報通信技術)インフラの底上げ(徳之島町)、亀徳新港ターミナルと定期船をつなぐボーディング・ブリッジの設置。
ほか、世界自然遺産登録取り組みの強化、県立大島病院ドクターヘリ出動予算の充実、医療・福祉の格差是正など多岐にわたった。
塩田知事は、資材高騰コスト高が続くなか長年据え置かれたキビ価格対策に「県も地元の皆さんと一緒になって取り組みたい」。後継者育成は「徳之島は約6千㌶の農地があってポテンシャル(潜在能力)が高い。地域で後継者をしっかりと育てていくことが大事」。
LCC(格安航空会社)誘致など航空運賃対策には「難しい問題と思っている。奄美大島へのLCC効果の他島波及も課題と思っている」。GoToトラベル政策効果の維持と併せた地元の観光振興対策では「DMOなど全体をコーディネートする地元人材の育成も大事」。持続可能な開発目標(SDGs)による地域づくりでは「コンサルタント作成の丸投げだと〝絵に描いた餅〟になりかねない。自分たちの考えが大事」ともアドバイスしていた。
徳之島町会場への移動中は「みらい創りラボいのかわ」(同町井之川)と「あまみ徳之島絆ファーム」(同町亀津)も現地視察した。引き続き25日午後1時から伊仙町(ほーらい館)で開く。