奄美市が導入したRPAなどのシステムについて研修を受ける市職員
奄美市は、新型コロナウイルスの経済支援策として今年5月から支給を実施した1人当たり10万円の「特別定額給付金」について、支給業務の一部をAIロボットに代行させるソフトウエアを導入、紙の申請書のデータ化や入金処理のための入力作業を自動化するなど事務作業の削減、効率化を図った結果、業務全体の63・6%でAIロボット処理を実現したことを報告した。当初2週間程度と見込んでいた支給業務を1週間以内で終えるなど作業の迅速化につながったという。23日、市役所で開かれた職員向けの働き方改革説明会で、支給業務を担当した健康増進課が明らかにした。
同市は昨年度から職員の働き方改革として、RPAなどパソコン操作の自動化による事務作業の軽減など、「情報通信技術」(ICT)を活用した業務の改善、効率化を進めている。今年度は、市総務課に働き方改革担当官を新設、デジタル化による事業効率化を進めており、給付金支給業務のAIロボット導入もその一環。
同課によると、今回、給付金支給業務には、紙の申請書に手書きされた数字や文字を読み取ってデータ化する「AI―OCR」と、これまで手作業で行っていた口座情報などの入力作業を自動処理する「RPA」の2種類のAIロボットを導入。給付世帯2万3723世帯の63・6%に当たる1万5143世帯についてAIロボットによって処理した。
AIロボット導入前は1回の給付で、最大1680世帯分を処理するのが限界だったが、導入後は約5・7倍の9605世帯分の処理を1回で実施することが可能になったという。
説明会では、特定検診のWEB予約システムを導入したことで、ネットで24時間予約できるようになり、受診者のサービス向上につながったほか、職員の負担軽減につながったことなども報告された。がん検診(受診者2210人)の24・6%(同544人)、特定検診(同820人)の17・7%(同145人)が同システムを活用した。
同市ではこのほか、全庁的にスマートフォンなどで情報の伝達や共有を行う「LoGo(ロゴ)チャット」を導入したほか、10課・室の25業務でRPAや電子申請など新たなシステムを導入、業務の効率化や市民サービスの向上につなげている。