国内初2種、琉球初1種

国内初記録となったツツナガレハナサンゴ(左)、ツツコエダナガレハナサンゴ(右)の群体(2017年12月21日撮影=藤井特任助教提供=)

琉球列島初記録となったオオナガレハナサンゴの群体(2017年12月21日撮影=藤井特任助教提供=)

大島海峡調査で確認
ハナサンゴの記録発表

 鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室=奄美市名瀬=の藤井琢磨特任助教(33)がこのほど、奄美大島の大島海峡の海底で確認した有藻性サンゴ類3種のうち、2種が国内初、1種が琉球列島初の記録事例となることを発表した。藤井特任助教は「生物多様性の実証につながり、今後のサンゴの分布調査にも影響を与える」と述べた。

 藤井特任助教らは7年前から大島海峡でハナサンゴ類の分布調査を実施していた。研究成果は日本動物分類学会発行の国際的学術誌「Species Diversity(スピーシズ・ダイバーシティ)」誌上で、10月28日付でオンライン先行公開されている。

 今回確認された3種はハナサンゴ類。いずれも海峡中央部の水深約30㍍の海底に生息。内湾で比較的流れが穏やかだった。和名は今回、新たに提唱された。

 体長20センチほどで砂泥域に群体を形成していた2種(ツツナガレハナサンゴ、ツツコエダナガレハナサンゴ)は国内で存在は知られていたが、確認が記録されたのは初めてとなる。色はどちらも茶褐色。初記録で分布北限が奄美大島に更新される見通しだ。

 また環境省レッドリストに指定されるオオナガレハナサンゴは体長約16㌢で乳白色。礫=れき=混じりの砂地に複数生息していた。分布域は東南アジアから九州以北とされたが、空白地帯だった琉球列島で確認されたため分布の連続性の実証につながるという。

 藤井特任助教は造礁性サンゴが生息する浅海(30㍍以浅)よりも、やや深いメソフォティックゾーン(中有光層)と呼ばれる薄暗い海域での分布が記録された内容を強調。「生態が十分に知られていない中で、生息事例が記録できたことは大きい。調査を重ね、サンゴの持つ潜在的価値のあらたな発見につなげたい」と意気込む。