クロウサギ施設計画公表

国の特別天然記念物アマミノクロウサギ(資料写真)

治療やリハビリ、展示で機能
24年度オープン目指す
大和村

 大和村は7日、2017年から協議を進めてきた「アマミノクロウサギ研究飼育施設(仮称)」の設置・運営に係る基本計画を公表した。交通事故などでけがを負った国の特別天然記念物アマミノクロウサギの治療やリハビリ、展示の機能を担う施設で、同村思勝の「まほろば・水と森公園」内敷地に建設を予定。今後、設計や地質調査に着手し、24年度初旬のオープンを目指す。

 施設は、交通事故など何らかの理由でけがを負い、療養やリハビリが必要な個体を保護し、自然に帰すまでが目的。これまで動物病院で治療を終えた個体は、鹿児島市の平川動物園に移され一時的に預かるなど、奄美で受け入れられる場所はなかった。

 施設では、動物病院で治療後の容体の安定した個体を受け入れ、回復のための飼育を手掛ける。主な目的には、▽治療・リハビリ▽生態研究▽生体展示・ミュージアム▽教育機能―などを掲げ、生態解明に向けた研究者・学生支援などにも力を入れる。

 建物は、鉄筋コンクリート平屋建てで、敷地面積約700平方㍍を予定。近くには環境省奄美野生生物保護センターも隣接し、建物には、治療室や検査機器室、生体展示や展示室を備える計画で、22年度の本体工事、23年度内の建物完成を目指していく。

 この日は同村定例議会が開会し、施設の実施設計や地質調査などの関連経費5580万円を計上。伊集院幼村長は「施設では本土に預けていたアマミノクロウサギをこちらでも引き受けることができる。周遊する仕組みを作りながら奄美のよさを見せていきたい」と施設の設置に期待を寄せた。

 なお、同準備検討委員会は2017年に設置。19年からは、村や環境省、有識者10人からなる同設置検討委員会を立ち上げ、協議を行ってきた。