奄美大島で世界自然遺産センターの整備が計画されている奄美市住用町のマングローブパーク
国の2021年度予算案が閣議決定したが、環境省は来年夏の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録を目指し、世界自然遺産登録推進事業(1億2千万円)、世界遺産保全管理拠点施設等整備(3500万円)を盛り込んでいる。希少種保全のためのノネコ対策事業費(6千万円)も計上している。
登録に向けては昨年10月に世界遺産委員会諮問機関のIUCN(国際自然保護連合)による現地調査が行われたが、今年4月に新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で夏に予定されていた第44回世界遺産委員会の延期が決定、11月にユネスコが同委員会の日程を来年6・7月に決定した。今後は来年5月ごろにIUCNによる評価結果の勧告(世界遺産委員会6週間前まで)、6・7月に中国福建省福州市で同委員会が開かれ、世界遺産登録の可否が決まる見通し。
登録に向けての取り組みになる推進費は前年度並みを計上。保全管理費(希少動植物の分布をはじめデータを基に)、遺産委員会対応関連費を盛り込んでいる。
拠点施設等整備は、世界遺産センター(仮称)を整備するもの。推薦地の観光利用にあたって、少人数利用を基本とする遺産地域利用の事前レクチャーの実施、多人数の観光客も遺産価値を享受できるVR(仮想現実)などを活用した感性に訴える展示施設などゾーンに応じた適切な利用を推進していく。24年度までに候補地4島に整備予定で、奄美大島は年度内の完成を目指し着工、徳之島では施設設計に入る。
ノネコ対策事業は、国内希少野生動植物種等の生息域からノネコを排除するもの。当面は、特に緊急的に対策が必要な奄美大島、徳之島の2地域を対象に「ノネコの生息状況調査・個体数推定、捕獲などを実施する」としている。
特定野生生物保護対策費(3億1千万円)も計上。アマミノクロウサギ、アマミヤマシギ、オオトラツグミについて保護増殖事業を実施する。